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逃げないで(朝)
いつもより早めに起きて地下室へと向かう
「……すごい匂い」
ドアを開けた時から漂う異臭
電気をつけ彼氏の方へと向かう
「……あー、やりすぎたかなぁ」
かなり嘔吐したみたいだ、すごく汚い
……おもらしもしたみたいだけど怖かったのか射精は出来てないみたいだ
スイッチを全て切って拘束も外しバイブも抜いてあげる
「おーい、おはよう、大丈夫?」
まだ薬が効いているのか起きているみたいだけど目が虚ろになってる
「……ん、困った、どうしよう」
水だけでも飲んで欲しい
ぺしぺしと軽く頬を叩く
意識が戻ってきたのか目が合う
「……おはよう、だいじょっ……!?」
急に彼氏の目から大粒の涙があふれ出す
喉が枯れて声が出ないのか口をパクパクさせながら泣き始める
「!?……!?だ、大丈夫、おお、落ち着いて?!」
どうすればいいか分からずとりあえず抱きしめ、背中をさすってあげる
力が入ってないけど泣きながら必死にくっつこうとしてくる
いつも飄々 として強気でこんなに泣いて甘えてくるところなんて見たことなかったからどうしようもなく慌ててしまう
泣き止む気配のない彼氏の背中をさすりながら
「……ごめん、なさい、やり、すぎ、ました」
聞こえているかも分からない謝罪の言葉を彼氏が泣き疲れて眠るまで言い続けた
ーーーーーー
……さっきからあいつがオレの寝ているベッドのそばでウロウロしている
ご主人様を心配する犬みたいだ
「……なぁ」
「!!……なぁに?」
「……おまえ、やり、すぎ」
「!……ごめんなさい」
ご主人様に叱られた犬のように見える
何なら犬耳がついてるようにさえ見える
オレは喉が枯れまくってガスガスでひどい声になってる
声を出すのも辛いけどあいつに声をかける
「かい、もの、だのんでも、いいか?」
「!うん、なに買ってくればいい?」
「……ぢっちゃい、ケーキ、ふだづと、じ、じっぷ……しっぷ」
「すぐ買ってくる」
あいつが走って部屋から出ていく
……いつも淡白なあいつでもヤキモチやくことなんてあるんだな
オレから告白して付き合い始めて、ヤキモチやいてほしくて他の男と関係持っても怒んねーし、何なら許されてるし
オレのことセフレぐらいにしか思ってねえのかと思ってたけど……
そもそも昨日だって男友達とあいつの誕生日のプレゼント買いに付き合ってもらってただけなのに
忘れてた訳では無いのに
「……あんなに嫉妬じてぐれるどはねえ」
ボソリと呟く
やりすぎなのはどうかと思うけど
……オレのこと好きなんだなって知れて嬉しくもある
かわいいもんだ
体が悲鳴をあげ、少しも動かせず寝そべることしか出来ないオレはこっそり悪態をつく
「……それにじでもやりすぎだろ」
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