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逃げないで(水族館デート 2)

「…………!」 「ペンギンじゃん、もうそんな時間か ……ガキみたいに目ぇ、キラキラさせて」 「!……えっと」 「もうちょい前の方まで行けるぞ」 澄二くんに引っ張られ前の方へと進み、しゃがみこむ 小さくてよちよち歩いててかわいい…… 「……環」 「?う」 呼ばれて振り向けば澄二くんの指がぼくの頬にささる 「……マヌケな顔」 ふはっと嬉しそうに笑う 「……あ、す、澄二くんもかわい、」 「いや、別におれを褒めて欲しいわけじゃない ペンギン行ったし、立てよ 次どこ行く?土産でも見に行くか」 前を向く澄二くんの背中にぽつりと 「……澄二くんも、かわい、です」 「なんか言ったか?」 「!……なんでもない、です」 ​─────── …………困った 先に歩いてた澄二くんが人混みに紛れてどこいったか分からなくなった とりあえず、人が少ないところに行って電話すればいいかな ……女の子たちがきゃーきゃー言って引いてるしやっぱりなんか変なのかな 澄二くん電話繋がらないし 動いて探しに行った方が…… 「環!」 「!す、澄二く、」 「悪い、先行きすぎた 動かないでくれてよかった つか、電話してくれりゃあ良かったのに」 「えっと、……電話してたんだけど」 「?……電源切ってんの忘れてた、悪い」 周りの人達が更にヒソヒソしているのが聞こえてくる 澄二くんがチラッと周りを一瞥して、 ちゅっ 「!?……うえっ!?」 「やっぱ身長差あるとキスしづらいな」 周りからぎゃーと悲鳴が上がるのを後目(しりめ)に 「はぐれないように手でも繋ぐか? ……顔赤すぎ、冗談に決まってんだろ」 ……もしも、僕たちが男同士でなければ人前で手を繋ぐことも……キスすることも出来るんたろうか 周りに左右されていなきゃいけないの、かな ​─────── 「あーーー、疲れた 久々に水族館行ったけど楽しかったな」 「……楽しんでくれてよかった」 水族館から出て近くのカフェへ入り何でもないことを話す 澄二くんが少し困ったような顔をして 「……環」 「……なぁに?」 「いつもならホテルでも行ってヤるんだけどもよ、……まだ腰の調子悪くてな 今回は悪い、出来なくて ……最初に言っときゃよかったな、わざわざ水族館になんて付き合ってもらって悪かった」 困ったように笑い、ここの会計はやっとくからと立ち上がった澄二くんの手を掴む 「っと、どうした?」 「えっと…………ぼ、僕は澄二くんと話したり一緒に出かけたりするのも楽しいし ……キス、したり、手を、繋ぐのも嫌じゃない 出来たらしたい、な 別に澄二くんとはヤりたいなんて目的で付き合ってるわけじゃないから……」 最後は尻すぼみになりながら話しきる 恥ずかしくて澄二くんの顔が見れない 永遠に続くのかと思うほど長い沈黙の後、 「…………手、離してもらってもいいか」 「あ、ご、ごめん」 慌てて澄二くんの手を離す ……僕、変なこと言っちゃった、かな これで、澄二くんと別れたりしたら…… 僕は別れたくなんか…… 「……俺たちさ、お互いに面倒くさいからさ、水族館は環の詫びでこれは借りってことにしてくれよ ……そうでもしないとお互いに会いづらいだろ?」 この借りは今度返してくれよ? そう笑って澄二くんが、手を振り行ってしまう 僕はじっと自分の手を見つめ 「……借り、か」 確かに僕はこうでもないと次に誘えはしないし、でも ……付き合っているから今度こそは借り貸しなしでデ、デートしてみたい、な

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