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ぼくのひーろー
ぼくはこじだった。
きづいたときにはおやはいなくてまいにちしらないひとたちになぐられていた。
てをさしのべてくれたのはかれだった。
かれはぼくに読み書きを教えてくれた。
僕に男からの抱かれ方を教えてくれた。
抱かれるのが嫌いだった。
彼は飽きずに僕を抱く。
ある日は僕が彼の精液を飲みこめるまでフェラをさせられて。
ある日は拘束されちんこに棒を入れたまま乳首を愛撫され。
ある日は媚薬を飲まされ射精するたびにお尻を叩かれ。
ある日は何時間も挿れたままで僕が気絶するまで。
ある日はおもちゃを使って快感に泣き叫ぶ僕を眺めて笑みを浮かべる。
ある日は……
毎日毎日休むことなく。
逃げ出したくなった。
僕は彼のもとから逃げ出そうとした。
すぐに捕まったけど。
もう嫌だ。外に行きたい。
泣きじゃくる僕を彼はどう思ったんだろうか。
彼は僕の話を聞いて僕の手を引っ張る。
彼は微笑んで車に乗るように言う。
どこに行くの? 彼は微笑みを返すだけ。
少し走ったところで彼が車を停める。
ドアが開く。
僕は引き寄せられるように車から外へ出ようとして彼を見る。
いいんだよ
そういうかのように彼は笑顔を向ける。
僕が車から降りると同時にドアは閉まり車は走り出す。
僕は久々の外が嬉しくてふらふらと歩く。
歩けば歩くほど言いようのない恐怖が襲ってくる。
孤児だったときも一人で出歩いたことはなかった。
常に誰かに見張られていたのに。
今は誰もいない。本当に僕一人しかいなくて。
たくさん人がいるのに世界に僕一人しかいないように思えて、怖くて。
足が止まる。
後ろから大きな音がなる。
驚いて振り返ると車から彼が降りてくる。
行かないの?
彼は楽しそうに笑う。
僕は自分がどうしたいか、なぜ外に出たいと思ったのかわからなくて。
ただわかったのは僕は一人になるのが怖い。
彼にすがりつき、
帰りたい。
彼は嬉しそうに笑って僕を抱きしめてくれた。
「君は悪い子だ。今日は何をしようか」
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