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勘弁してくれ!

この世界には人間と半獣人が存在する。 ゴリラの獣人だったら人間より少し力が強かったり、猿の獣人だったら木登りが上手かったり、猫の獣人だと人間より寝る時間が長かったり。 半分入っている動物の性質が受け継がれているだけで見た目は人間と同じだ。 ただ、稀に半分入っている動物の困った性質を受け継いでいるやつもいる。 それが俺のルームメイト千海だ。 「あ、あはは〜、おしっこ止まんないや……」 「勘弁してくれ……!」 少し前に遡る…… 「ただい、うおあ?!」 「んあ……あー大輝、おかえりぃ」 何度見ても慣れない、ベット柵に足を引っ掛けて逆さまに寝ているところを見るのは。 「いい加減慣れてよ〜、もう二週間も経つのにさ〜」 ふわぁと欠伸をしたあと地面に立つ。 「いつ見てもベットから落ちかけてんのかって不安になるんだよ…… 見てる俺のほうが怖い。いつか頭から地面に落ちるぞ」 「ま〜そこらへんはコウモリの獣人だからね〜。バランス感覚はバッチリ〜。 でも起きたあと毎回目が回るんだよね〜。あ、やっべキモチワル……」 千海はコウモリの習性で逆さまにぶら下がるが半分人間のためぶら下がり続けると頭に血が上り体調を崩す。 じゃあすんなよ、と言いたいのをぐっと堪える。 コウモリの習性だから仕方がない、仕方ないんだ。その後の世話をするのもルームメイトだから仕方ないんだ、と自分に言い聞かせる。 「体横にして。ほら、水。ストロー刺さってるからそのまま飲んで」 「お母さんみた〜い」 「誰のせいでこうなってんだと思ってんだ」 「おれで〜す」 へにゃへにゃ笑う千海を見ていると気が抜け起こる気力もなくなる。 「あ、そういや、千海に渡してくれって先生からプリントもらってたわ」 「プリント〜? あ〜そういえば部活の紙白紙のまま出したからそれかな〜。どこも入りたくないのに〜。」 「いや、その場合帰寮部って書けって言われてただろ、っ! あーやべ、指切った」 取り出した紙で指を切ってしまった。あの地味に痛いやつ。 しかもちょっと血出てきたし。 「悪い、ちょっと待って。ばんそうこ、う?!」 立ち上がろうとすると後ろから服を捕まえれそのまま後ろ向きに倒れ込む。 千海が馬乗りになってくる。 よだれを垂らしながら目がランランと光っているようにも見える。 「お願いします! 血を吸わせてください!」 「い、いや待て待て。なんだよそのよだれは! このっ、離れろ!」 「〜〜〜!!」 千海の急所に蹴りを入れドアの近くまで逃げる。 「何すんだよ急に!」 「あの、大輝、話を聞いてほしい。けどその前に、その、血を止めてから。 ……うえぇぇお腹すいたぁ〜!!」 「……は?」 「……で? 話って?」 「あ、あのさ〜。大輝はおれがコウモリの半獣人なこと知ってる、よね? おれはさ〜チナミスイコウモリっていうコウモリでさ〜。 血をご飯にするタイプのコウモリなんだよ」 「吸血コウモリってやつ?」 「あ、そうそれ〜」 「そうそれーって……」 て言うことは普段から血吸ってんのか? 人襲って、とか。 逃げる体勢をした俺を見て千海が何もしないことをアピールするように両手を上に上げブンブンと手をふる。 「あ〜、あのね、おれは人とか動物とか襲ったりしないよ。普段はサプリ取って、でたまーに血液パック飲んでるんだけど…… 最近金欠で血液パック買えなくて、それでその〜、久々に血を見たから我慢できなくて。 ほんとにごめん〜、嫌いにならないで〜!」 「いや、うん、そういうことなら、仕方ない(?)し…… ちなみに、血を飲まなきゃどうなるん?」 「あ〜、さっきみたいになっちゃう可能性がある…… 適度に飲まないと、人間の食事で言うと水ぐらい重要!」 「めちゃくちゃ重要じゃねえか! ないと死ぬってこと?!」 ぐううと大きな音がなったと思うと千海が体を丸める。 お腹すいた〜と苦しそうに呻く。 「じゃあ、俺の血、吸う?」 「え! ほんとに?! いいの!? ありがとう!」 言うやいなやちょっと待って、と薄っぺらいシートを床に敷いてズボンを脱ぎ下半身をさらけす。 そしてシートの上で女の子ずわりをする。 「よし、いいよ!「なにも良くねえよ!」 「え? あ、やっぱ痛いのは嫌、だよね。大丈夫、最初だけチクってするけどその後は吸うだけだからあんまり痛くない、はず」 「いやいや違う違う違う! なんでズボン脱いだの?! そのシート何?! 何に使うんだよ!」 「それは……見たままなんだけど…… 言うよりやったほうが早いから。もう限界だから、ごめんちょっともらうね」 「いや待って、痛っ」 俺の腕に噛み付きでてきた血を口を尖らせチュウチュウと吸い出す。 一滴もこぼさないように舐め取り、また吸ってを繰り返す。 吸うのも舐めるのも下手くそで顔に血がついている。 舐められているところがゾワゾワするし見ているのも恥ずかしくて顔を背ける。 「ぷあぁ、美味しい」 「あ、もういい……?!」 「あ〜〜……」 千海はひどく気持ちよさそうな顔でおもらしをしていた。下に敷かれたシートが濡れていているのがわかる。 ゴクリ、と生唾を飲む。 「あ〜ごめん。 チナミスイコウモリって血を吸ったあとおしっこするんだ。お腹いっぱいになると飛べなくなるから体重減らすために。 あ、あはは、ごめん、おしっこ止まんないや…… あの、ごめん、あんま、見ないで。そんな見られると恥ず、かしいんだよね〜」 いつものようなへにゃへにゃした笑い方の中に、少しの恥ずかしさ、快感が入り混じったような顔で。 言うなれば嗜虐心を煽られるような顔で。 俺の体中の血液が沸騰したんじゃないかと思うほど体が熱くなる。 「あ、あれ? 大輝、血また出てきてる。あの、もうちょっともらっても」 「ト、トイレ行ってくる!」 千海を振り払いトイレへと駆け込む。 勢いよくドアを締めそのままズルズルと座り込む。 (やばい、俺最低だ、最悪だ。あの千海見て勃つなんて……!) 「大輝優しいな〜。血分けてくれたし。大輝がルームメイトでよかった〜」 「もうあいつとルームメイトとか……勘弁してくれ!」

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