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第1話(3)

「猫目が枕してたせいじゃん。ハメ撮りまでして、逆によく今までバレなかったよな〜?」 「部長にハメ撮りがバレるなんて思わないだろ!?てかお前はさっきから俺が泣いてんのに横でぽちぽち何してるんだ?!」 俺はあまりゲームやアニメなどのオタクっぽいものには興味はないのだが、慰められに来ている友人の隣でずっとスマホを弄られていたら流石に気になってしまう。 「あ〜これさ、最近ハマってる恋愛ゲームなの」 「恋愛〜??なんでまた?」 ノンケの恋愛見たって楽しいのか?と不貞腐れながら受川のスマホ画面を見る。 「BLゲームなんだよ、男同士で恋愛すんの。意外と面白くてさ〜〜俺なんかこのアスラン王子が超タイプで課金しまくっちゃうんだよね」 アスラン王子とかいう受川の推しを見せられる。 まあ確かに金髪碧眼で優しそうな整った顔立ちで、まさに王道の白馬の王子様といった感じで俺好みではないがイケメンではある。 「ふーんこいつもゲイなの?」 「BLゲーだからな。この世界の登場人物はほぼゲイといっていいな。」 フフフと得意げに微笑む受川。 「え!!?!まじ?!ヤリ放題じゃん!!」 そんな都合の良い世界があるのかと少し興奮気味に食いついてしまった。 「バカお前、そんな簡単にイケメン喰えるもんじゃないんだよ。恋愛して好感度とか色々あげなきゃなんねーんだよ。そのために俺は毎月課金をだな……」 「なんだヤリ目ゲームじゃないのか、恋愛とか、つまんね」 「恋愛ゲームなんだから当たり前だろー」 受川は文句を言う俺からスマホを奪い取る。 恋愛はめんどくさいのでする気もない。 過去のこともあるが、変に感情を持つことが面倒なのだ。 だがまあ、相手の趣味をからかい過ぎるのは良くないよなと、受川の話題に改めて乗ってやる。 「じゃあ俺は…コイツ、このちょっとガタイ良さそうで、ツリ目の男……」 「あ、コイツ攻略対象じゃないから。しかもノンケ設定」 「ゲイじゃないんかい!!」 選んだキャラが予想を外されガクッとする。 「もー帰る!!」 酒の飲み過ぎで足元がフラつくがそんなことはどうでもいい。早くおうちかえる。 受川がバーのママに連れて行けと促され、しょうがないな、と俺を支えて店を出る。 店を出ると、夜の風が酒で火照った身体を冷まして心地よい。ぼーっとしながら進んでいると、 「いいじゃん。お前の過去の経験上、惚れた相手は大体ノンケだっただろ?さっきは見事に当てたよなー」 と、さっきの続きなのか俺の過去の恋愛歴までいじり始める。 「うるせー!!!こうなったら、ゲームの世界に入って今度こそノンケのイケメンを堕としてエロ玩具商人になって幸せにヤリまくるんだい!!!!!」 あの星に誓って!!!!と夜空に向かって大声で叫びながら、適当な星を指さす。 「おーし!俺もゲームの世界に行ってアスラン王子とヤリまくるぞ〜っと♪」 受川もおどけながら空に向かって拳を突き出す。 一瞬ぴかっと指さした星が大きく光る。 そして突然足元から眩い光が出てくる。 「「え??」」 俺たちは立ち尽くしたまま光に包まれていく。

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