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第2話(2)

「承知しております。私の研究はその為のものでございますから。」 魔道具技師団は普段は生活に関わる物から軍備や兵器などの研究を行なっているが、私の場合、女神の持つ神聖力についての研究も個人で行っている。 「ああ、頼りにしているよレオン」 アスラン王子が私の方を向き、頬を撫でる。 王子の行動に背筋がゾッとする。 「…おやめください。それと愛称で呼ばれるほど親しくもないでしょう」 「フ、やはりつれないヤツだな、レオンハルトは」 王子は先ほどまでとの真剣な表情とは変わり、力の抜けた笑みを浮かべる。 「王子が奔放過ぎるだけでしょう。こんな時だと言うのにこの間も愛人を部屋に呼ばれたとか」 「それくらいは構わんだろう?私も息抜きをしたい時ぐらいあるさ。なんだ?嫉妬か?」 「ありえませんね。私に男の趣味はございませんので。つまり、男である王子への想いなど全く持ってありません。」 男を抱く、抱かれるなどさらにありえない。何故こうもこの国は男色の文化が強いのか。 そう思いながらきっぱりと王子に言い放つ。が慣れているのか王子は笑みを崩さない。 「やれやれ、同性愛の多いこの国で男嫌いなんてお前くらいじゃないか? 女神様も相当な美男だという話だし、もしかしたらお前も見惚れてしまうかもな、なんてな。 まあいい、召喚の件は頼んだぞ」 アスラン王子はじゃあなと、マントを翻し去っていく。私は深いため息を吐く。 それからあっという間に日は流れ召喚の準備は整い、女神召喚の儀式が行われる。

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