15 / 30

第5話(1)

「あのー、あそこは何があるんですか?」 「あちらは王室図書館がある場所です。基本的には王族と許された者しか出入り出来ません。」 「ふーん。あ、じゃああっちは?」 「あちらは皇后宮です。王様のお后様であらせられる、エレナ・ド・ビエルン様が暮らしております。こちらも王族と許された者しか出入りは出来ません。」 「…へー、じゃああそこの綺麗な庭園は?」 「あちらは陛下の為に造られた庭園です。目印に陛下がお好きな赤い薔薇が植えられているので、無闇に入っては行けません。」 「んもう!どこも行けねーじゃん!」 「そう言われましても、決まりですので。」 俺はぷりぷりと頬を膨らませながら、レオンハルトに向かい不満を漏らす。レオンハルトは俺が何を言っても冷静で真面目だ。 王様に魔法をスカした瞬間を披露し大スベリしてしまい、女神の弟子ということで俺に何か言うこともできないのだろう、王様は空気に耐えられなかったのか、たまたま入ってきたレオンハルトに声を掛け、俺に王宮を案内するように命じた。そして現在である。 昨日、このイケメンが俺のペニス扱いてイカせたんだよな…?受川のやっていたゲームの中ではノンケだということは、今目の前にいるレオンハルトもノンケなんだろう。風俗だと勘違いして触らせたのは流石の俺でも罪悪感がある。 急に焦りと冷や汗が出てくる。 「どうしましたか?」 「ああ、いえ!!レオンハルト…さんって、さっき自己紹介された時に王国魔道具技師団の団長さんって言ってましたけど、魔導具技師って何してるのかな〜なんて〜…」 考えごとが顔に出ていないか焦りながら質問をする。レオンハルトはああ、なるほど、と涼しい顔をして前を向き説明してくれる。 「名前の通りです。魔導具と呼ばれる家具や道具などを造っている技師たちのことです。 魔導具には予め魔力を込めた魔法石を使っており、魔力が弱い者や魔法を使えなくとも、魔法石を通して魔法を使うことができるのです。その魔法石を使った道具を魔導具と呼びます。 例えば、この世界ではランプにも魔法石が込められていて、自分で火や光の魔法を使わなくとも灯りが灯せるのです。」 「へ、へえ〜〜!す、すごいですね!」 話を逸らすのに成功してふうっと息を吐く。 レオンハルトの顔を伺うと、特に不機嫌な訳でもなく無表情だ。改めて見ると、やはり凄い好みの顔だ。服の上からでもわかるガタイの良さも益々俺好みだ。ノンケじゃなかったらな、でも興味はあるのか?なんて考えてしまう。 この人は昨日のことなど気にしてないのだろうか。 「猫目様?」 レオンハルトが俺の目の前に顔を寄せていた。好みの顔がすぐ目の前にあり、一方前に出ればキスできてしまいそうだ。なんて、何を考えているんだ!忘れようとすればするほど変な妄想が浮かんでしまう。 ――ふと、昨日の彼の手の感触を思い出して身体がズクンと疼いてしまう。 「っ!」 やばい、今ので勃ってしまった… 俺は腰を少し屈めて勃つのが目立たないようにしたが、そのせいで少しタイトなズボンのせいで前が擦れる。 「猫目様?いかがなさいましたか?」 レオンハルトが俺の肩を掴む。触れられた瞬間、身体が更に熱くなるのを感じる。こんな格好を彼にバレるのは居た堪れない。早く部屋に帰りたい。 「あの、体調悪いんで、部屋に帰りたいです。」 「顔が赤い。熱があるかもしれません。部屋までお送りしましょう。」 「い、いえ!お気になさらず!1人で帰れますから!」 レオンハルトの腕を払い、歩き出そうとする。 「お待ち下さい!」 腕を掴まれ、引き留められる。 「……そのお顔でお一人で歩かれるのは危険です。」 顔を指摘され、廊下にあった鏡に写った俺の表情は瞳は潤み、頬は赤らんで興奮した息を荒く吐くために開いた小さな口元。 よく相手とセックスする時にしていた欲情丸出しのエロい顔だった。

ともだちにシェアしよう!