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第6話(2)

受川は子供みたいに泣きながら事の経緯を説明し始めた。経緯はこうだった。 受川はアスラン王子とすぐに打ち解け、いい雰囲気になって来たので、王子に夜這いをかけようとしに行った。 「アスラン様…俺と…シよ…?」 「…受川様……」 王子はそれを満更でもない様子で受川をベッドに迎え入れたという。 ベッドの中で王子の手が受川の体を触れ、前戯をしてくれたんだとか。 「あ、あん、アスランさまぁ…もう、我慢できないぃ」 受川はアスラン王子のそそり勃ったペニスを自分の穴に導こうとした。その瞬間、 「駄目だ!」 受川は手首を掴まれ挿入を拒まれたという。 「どうして…?俺のこと、嫌いになっちゃった…?」 受川は自然と涙を溢す。 「違います!そんなはずありません!僕は貴方を愛しています。ですが…」 アスラン王子は戸惑った様子でどう説明するべきかと悩んだ様子だったらしい。ていうか一人称僕なのか、いつも会う時は公式の場だったから変えていたのかもしれない。 「俺は、王子とシたいよ、俺じゃ他の愛人みたいになれないの…?」 「違う!聞いてください!僕は貴方を愛人とは思っていない!本当に大切な人だから…大切な人には、結婚するまで、貞操を守っていて欲しいから……」 「えっまってノロケ????」 事の経緯を受川の回想と共に聞いていたが、何がどう悩むことがあるのか。ただ惚気を聞かされていたのではと気づき、話を遮ってしまった。 「結婚も前提に考えてくれてるってことじゃん。何がいけないの?」 「俺は!今すぐにでも!王子にハメて欲しいの!!!!」 「うっわ……」 流石の俺でもちょっと引いた。まあでもヤリたい気持ちはわかる。そこら辺は俺たちビッチな類友だ。 「でも、ハメて貰ったら貞操観念の意味は???」 「だから、猫目にゴム作って欲しいの!ゴムなら一枚隔ててるから、中出しもされないし、真の貞操は守られてるだろ?!ソレを王子につけてもらって擬似セックスするんだよ!」 コイツのこの発想はどこから出てくるのか。めちゃくちゃ屁理屈なんですけど。擬似って、もうそれセックスだから。なんて脳内でツッコミをしておく。 ふと、昨日のことを思い出す。そういえば、俺もレオンハルトのモノを挿れて欲しいと言ったら断られたんだった。 もしも、コンドームをしてできるんだったら…… 妄想して顔が、赤くなる。受川は俺の手を掴み、迫ってくる。 「な!?お願い!前の世界じゃエロいオモチャいっぱい売ってたじゃん!どうにか作ってよ!」 「売ると作るは違うって。……まあでも、作ってみないことはない。」 「ほんと!!?ありがとう!!持つべきものはネコ友だな〜〜〜!!!」 さっきまで流していた涙をすぐに引っ込め、調子の良い笑顔で俺を抱きしめる。 「………お前もレオンハルトさん、落とそうな。」 受川がニコッと子犬の様な愛嬌のいい笑顔で俺をからかう。 「…そういうんじゃないし。……受川こそ頑張れよな」 図星だが、大きく否定はしない。俺は照れながら顔を逸らす。

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