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第9話(1)
「ん…ぅ」
目が覚めた先には、最近見慣れ始めた天井が映っていた。
「あれ??俺の部屋?」
状況がよくわかっていないがゴソゴソと起き上がると扉からノックの音がする。どうぞ〜と返事をすると扉が開きメイド達がゾロゾロと入ってくる
「猫目様!お目覚めになられたのですね!」
メイド達が心配そうに俺の方へ寄って来る。
「うん?う、うん。おはようございます?」
なんだかメイド達が俺の様子を見るなり安心したのか、ホッとした様な顔をする。メイドの1人が思い出したかのように「お医者様とレオンハルト様をお呼びして来ます!」と急いで部屋を出ていく。
なんだか慌ただしい様子に混乱してしまう。
「いや〜…えっと、なんかよく覚えてないんだけど俺なんかした?」
へへへ、っとおどけながらも、自分の状況を思い出してみる。
そう、確か昨日は……
「お目覚めになられましたか、猫目様。」
昨日の出来事を思い出そうとしていたところを、あまり聞き覚えの無い声で遮られる。
声の方を見ると、いつ部屋に入って来たのか1人の男が入口の側に立っていた。男はレオンと同じくらいのスラっとした細身の長身で、綺麗な菫色をした太腿まで届きそうな長髪を腰の辺りで銀色の綺麗な髪留めで纏めていていた。
彼が近づいて来ると綺麗な水色の瞳をギラギラとさせながら、中性的で綺麗な顔が俺を覗き込んでくる。
フムフムとなにか値踏みでもされている様な居心地の悪さよ。空気というか圧に耐えられず俺から話しかける。
「ええっと…?なんでそんなに見つめて来るんです…??」
「フム…何というか、猫目様からはまっっっったくの魔力を感じませんねぇ?」
ジロジロと見てきて開口一番、なんとも失礼な。こちとらエセ女神だぞ。と口には出さないがムッとした顔して悪態をついてみたりする。
「え、ええ…それが何か…?というか貴方誰です…?」
俺は引き攣った笑顔になりながらも大人の対応(多分出来ているはず)をして、目の前にいる美麗な男に名乗るよう促す。
「嗚呼、これは失礼を。僕は宮廷魔導士の団長を務めている、エルマ・アインホルンと申します。以後お見知り置きを。」
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