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第9話(2)

宮廷魔導士? レオンが所属している魔道具技師団とは違うのだろうか。団長、ということはとにかくレオンの様に偉い立場の人なんだろう。あと『失礼を』って、名乗ってない事よりも前に色々してるからね?俺はめざといからな? 「団長さんが俺に何の用です?」 布団に隠れるようにエルマと名乗る怪しい人物から距離を取る。 「まあそう構えずとも!取って食べようなどとはいたしませんからご安心を!」 嗚呼…とまるでミュージカル俳優の様な大袈裟にポーズを取り、彼の周りには異様なキラキラエフェクトが舞っていた。 彼を見て何となく、あ、この人ヤバい奴だな。と直感した。顔はイケメンなのに…残念過ぎるオーラがダダ漏れになっている。 「いいですか!僕は王国一の魔導士と讃えられるとっても偉ァ〜〜い人なのです!そしてこの国の4大貴族にも属する、素晴らしきアインホルン侯爵系の当主なのですッ!!」 何だか色々と偉い自慢な事を話しているが、イマイチ異世界の単語はピンと来ないのでエルマが話している間彼のあだ名を考えていた。 よし、今からこいつは『変なおじさん』もとい、『変なおにいさん』と俺の心の中で呼ぶとしよう。 「聞いてますか!?」 「あっハイ!変なおに…エルマさん!」 「ん??まあ宜しいでしょう。では本題に移りますが、猫目様、私に貴方の神聖魔法を研究させて頂けませんか?」 「へ?!な、何で知ってるんだ?!」 ハッと口を閉じる。まだ神聖魔法が使えるのは条件が必要だからこのことはレオンと受川しか知らないはず…… 「まさか受川が言ってたのか?!」 「いいえ?女神様は4日前から王国の北にある地域にて瘴気を払うための遠征へと旅立っております。僕が知ったのは貴方が魔力を無駄撃ちして眠りこけていた丁度3日前のことですから。」 色々と新情報が多すぎて整理ができない。受川は北の地域に遠征?それに眠りこけていた3日前ってことは… 「お、俺、3日間も眠ってたってこと?」 「エルマ!」 俺がエルマの言葉に混乱していると、レオンが怒鳴りながら部屋に入ってきた。

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