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第二章・2

 食後に冷たいマンゴーラッシーを飲みながら、秀実は士郎に訊いてみた。 「あの、お仕事って。組長さんは、何のお仕事をやってらっしゃるんですか?」 「うん。その前に、『組長さん』はやめて欲しいな」 「では、何とお呼びすれば」 「近藤さん、とか、士郎さん、でいいよ」  士郎さんは馴れ馴れしい気がするので、近藤さんと呼ぼう。  秀実が胸の内でそう決めた時、士郎はさらりと組のシノギについて語った。 「まずは、カフェ。君が昼間に来たところが本店で、その他に支店が四軒この街にはある」 「普通の、カフェですか」 「どういう意味?」 「つまり、その。取引に使われる場所、とかではなくて?」 「安心して。綺麗な仕事をしているよ。裏でよろしくないブツの売買なんか、やってないよ」  ホッとしたのもつかの間、二つ目の仕事に秀実はラッシーを吹いた。 「あと、AVの撮影。私はその俳優の一人なんだ」  だから太るわけにはいかないんだよ、と言う士郎は変わらずにこやかだ。 「AVって、あの。……エッチな?」 「観る? 最新作あるよ」 「け、結構です!」  そこで秀実は不安になった。  噂では、半ば罠にはめられるように脅されて、AVに出演させられる人もいるという。  まさか、この人はそんなこと……。  勇気を出して訊ねてみると、それはない、という返事だった。 「世の中には名を売るためや、お金を稼ぐためにAV俳優になる人も、結構多いよ。うちでは基本、そんな人を使ってる」  よかった、と秀実は胸をなでおろしたが、昼間の士郎の言葉を思い出した。

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