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第四章・4

  「……ダメッ!」  秀実は目を固く瞑り、再生をストップさせていた。  見られない。  これ以上、見られないよ。 「近藤さんが他の人とキスしてるところなんて、見られない……」  耳が熱い、頬が熱い、そして……。 「ぼ、僕、勃ってる?」  生きることで精いっぱいだった、毎日。  性欲など、,すっかり鳴りを潜めていた。  キスなんて、忘れていた。  はぁはぁと息を荒げ、秀実はバスルームへ歩いた。 「ダメだ。近藤さん、近藤さん……!」  タイルの上にしゃがみ込んで、緩く勃ち上がった性器を手に取った。  夢中で手を動かすと、身体の中心がどんどん熱くなってゆく。 「あ、あぁ!」  頭の中に、知らない誰かとキスをする士郎が浮かんでくる。  そしてそれを、自分と置き換えて駆け上がった。 「……ッん! ふ、ぅん、んんぅ!」  びゅっ、と精が飛んだ。  流しっぱなしのシャワーの湯に運ばれ、秀実の体液は流されていく。 「はぁ、はぁ、ああぁ……」  精は流れたが、心の澱は流れない。 「僕、何てことを」  近藤さんで、抜くなんて!  あの人は、命の恩人なのに!

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