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第四章・5

 体を清め、バスルームからよろめきながら出た。  部屋着を着て、リビングのソファに倒れ込んだ。 「どうしよう、僕」  多分、いや、きっと。 「僕は、近藤さんが好きなんだ」  どうしよう。  身体が、熱い。  火照りを抑えることもできず、秀実はそのまま無理やり眠ってしまおうと頑張った。  眠れば、そして目を覚ませば、きっと落ち着いているはず。  そう考えて、目を瞑った。 「……ダメだ」  瞼を閉じれば、浮かんでくるのは士郎の姿。  しかも、AVで見たキスシーン。  芸術映画ではないのだ。  視聴者が欲情するように、作ってある。  士郎のキスは、美しいというより、生々しかった。

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