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第五章 秀実。士郎さん。
突然の秀実の発情に、士郎は戸惑った。
それでも構わず、秀実は彼を追い詰めて来る。
「近藤さん、恋人とか、いますか?」
「いや、いないけど」
だったら。
(僕、何考えてるんだろ。何言おうとしてるんだろ)
でも、もう止まらない。
抑えが、効かない!
「近藤さん、僕、近藤さんにキスして欲しい」
「秀実くん」
お願い、とねだる秀実の目は、本気だ。
抑えが効かないのは、私も同じだ、と士郎は感じていた。
脳が揺れている。
揺れて、酔っている。
(Ωのフェロモン、か)
鋼の意思を持つ士郎なら、この程度のフェロモンなら跳ね返すところだ。
だが、秀実は可愛かった。
可愛すぎた。
(……今こそ、身体で払ってもらうとするか?)
士郎は、秀実の唇にそっとキスをした。
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