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第五章・6
「あ、士郎さ、ん。ナカ、そこ、熱……ッ」
「ここ、イイだろう?」
「んぁ、はぁ、ダメ、ですぅ! そこは、そこはダメぇえ!」
びゅっ、と秀実は射精した。
もう何度、指だけでイかされただろう。
もう、もうダメ。
でも、まだ。
まだ、もっと!
「士郎さん。士郎さん……ッ!」
両手で空(くう)をかく秀実は、全身全霊で士郎を求めていた。
この腕に、士郎さんを抱きたい。
士郎さんの背中に、爪を立てたい!
そんな秀実に、士郎も我慢ができなくなっていた。
(自分で抜かせているうちに、満足してくれるかと思ったが)
それは返って、秀実を燃え上がらせることになったらしい。
(こんなにそそるΩくんは、初めてだな)
今まで、撮影でΩの俳優を使ったことはあるが、あくまでそれは演技の範疇だ。
タガを外して本気で悦がり始める子もいたが、秀実ほど乱れることはなかった。
情が、生まれた。
士郎の心に、今まで無かった情が。
秀実に対する情が、溢れてきた。
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