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第五章・7
「秀実、私の背中を、もう一度見て」
士郎は、秀実に背を向けた。
そこには、極彩色の竜の彫り物が荒ぶっている。
「大丈夫か? 平気か? この竜が、今から秀実の中に挿入るんだぞ?」
「士郎さん」
涙を、唾液をぐしゅぐしゅと拭い、秀実は腕を伸ばした。
「僕は、士郎さんが好きなんです。ヤクザとか堅気とか、関係なくって」
士郎さんだから、好きになったんです。
「……想像を超える返事だ」
もう、迷うことはない。
この子なら、事後に後悔して泣くことはないだろう。
「じゃあ、挿れるよ?」
「はい……」
ぐッ、と入り口が広がる気配がした。
(もしかして、士郎さんのすごく太い、とか!?)
指でよく慣らし、ローションの助けもある。
Ωの体液も、手伝ってくれる。
それでも、士郎のペニスは秀実を引き攣らせた。
「あ、あぁ! っく、あ! はぁ、あぁ!」
じりじりと、熱杭が秀実の体内を焼いてくる。
その圧迫感は苦しかったが、ようやく士郎と一つになれたという幸福も運んできた。
「全部、挿入ったよ」
「あ……」
目じりの涙を指で拭ってくれる士郎が、優しい。
秀実は自分の白い腹に手を乗せ、そっとさすった。
「あぁ……」
熱い夜は、始まったばかりだった。
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