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第六章・3
しばしの時を置き、秀実の呼吸が鎮まった頃を見計らって、士郎は身じろいだ。
「やだ。離れたくない」
「離れなければ、また一つにはなれないよ」
優しい士郎の言葉に、秀実はうなずいた。
ずるり、と士郎のペニスが秀実から引き抜かれる。
とろりと精が、あふれ出た。
秀実をその胸に抱きなおし、士郎はささやいた。
「素敵だったよ、秀実。君はどう? 満足できた?」
その問いには、一言だけ。
「士郎さん……」
そしてそのまま、秀実は意識を手放した。
「おやおや、また気絶か」
ウェットティッシュで彼の体を拭き清め、次いで自分の始末もした。
蒸しタオルを用意し、秀実の汚れを落とす仕上げをし、シャワーを浴びた。
寝室へ戻って、改めて士郎は秀実の寝顔を拝んだ。
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