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第六章・5
僕は一体、何てことを!
翌朝、秀実を襲ったのは激しい羞恥だった。
後悔は、していない。
自分から抱かれたのだ、士郎さんに。
「いや、その『士郎さん』っていうのが、すでに!」
恥ずかしい!
少し優しくしてもらったからって、馴れ馴れしい!
掛布を頭から被って悶えているところに、士郎の声が聞こえて来た。
「秀実、起きてる?」
(秀実、って。士郎さん!?)
「起きてるなら、そのまま聞いて。ちょっと組の事務所に行ってくるから。朝食は準備してあるから、ちゃんと食べなよ」
ピクリとも動かなくなってしまった掛布のかたまりを見て、士郎はクスリと笑った。
(この様子だと、起きてるな)
そして、ばつが悪くなって、私と顔を合わせづらいんだろう。
「じゃあ、行ってきます」
士郎は、寝室から出て行ってしまった。
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