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第六章・6
「……士郎さん、もういなくなったかな?」
少し時間を置いてから、秀実はようやく起き出した。
「そういえば僕、パジャマ着てる」
昨夜は確かに、裸のまま眠ってしまったのに。
「それに、体も汚れてない」
ああ、と嬉しさと申し訳なさが同時に沸いた。
「全部、士郎さんがやってくれたんだよね」
秀実は、パジャマの裾を握った。
優しい士郎さん。
僕は、そんな士郎さんに何をお返ししてあげてるだろう。
「付き人っていっても、組の事務所には行けないし」
一緒にご飯食べて、一緒にジムに行って。
一緒に買い物して、一緒に……。
「……エッチしちゃった」
僕は士郎さんを、満足させてあげられたのかな。
発情したΩなんて、返って迷惑じゃなかったのかな。
のろのろと着替えて、洗面を済ませた。
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