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第六章・7
キッチンへ行って秀実が食卓に着くと、そこには小箱とメモが残されていた。
「あれ? これは」
発情抑制剤と、士郎の字だ。
秀実くん、から、秀実、と呼び方を変えることを許して欲しい。
昨夜の君は、魅力的だったよ。おかげで、すっかり魂を奪われてしまった。
付き人から、恋人になってもらいたいんだけど、どうだろう?
ただ、これは君の将来をも左右することなので、帰ったらちゃんと話し合おう。
追伸
昨夜のことで赤ちゃんできたら、私がお父さんになってもいいかな?
「士郎さん……」
メモの字は、終わりの方では涙でにじんで読めなくなってしまった。
嬉しい。
嬉しくても涙が出るなんて、秀実は初めて知った。
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