65 / 153

第十章・4

「……凌辱もの、すごい売れ行きなんだって」 「ホントですか!?」 「……嬉しいのか?」 「それは、やっぱり嬉しいです」 (私の気持ちも知らないで!)  士郎は少し、そんな秀実に意地悪をしてみよう、と考えた。 「実は、ここにそのDVDがある!」 「あ!?」 「一緒に観よう、秀実」 「それは、その!」 「嫌なのか? だったら私一人で観るよ」 「えっと……」  仕方なく、秀実はリビングで士郎と一緒に自分が主演のAVを観ることになった。 (士郎さん、怒らなきゃいいけど)  なにせ、恋人がありながら、仕事とはいえ他の男と寝るのだ。 (僕、前にあんなこと言ったのに) 『僕なら、恋人がいるならAVの仕事はしません』  士郎さん、覚えてるかな。  呆れてるんじゃないかな。  しおれた秀実の心とはうらはらに、過激な内容の映像が流れ始めた。

ともだちにシェアしよう!