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第十一章・7

「テレビの仕事、楽しみ?」  士郎に笑顔でそう言われ、秀実は素直に返事ができないでいた。 「楽しみですけど、怖い気もします」  それには、いつものように肩を軽く叩いて励ましてくれる士郎だ。 「大丈夫だよ。緊張してるのか?」 「え? はい……」  本当は、ミチルさんに会うのが怖い。  ミチルさんに会うのが楽しみだけど、怖い。 (士郎さんのことを、ミチルさんはどう思っているんだろう)  そして、士郎さんは今、ミチルさんのことをどう考えているんだろう。  元・恋人、だったりしたら、僕。  僕、どうすればいいのかな。 「士郎さん、あの」 「ん?」 「ミチルさん、って」 「今度はミチルくんと共演だね。がんばれ」    ミチルさんって、どんな人でしたか?  ミチルさんと、どういう関係でしたか?  そう尋ねたいのに、口が開かない。  舌が、うまく回らない。 「ミチルさんって、きれいな人ですね」  そんなことを言って、逃げた。  恐怖を、先延ばしにしていた。

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