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第十二章・3

 それはそうと。 「秀実くん、これ付けてください、ってADさんが持ってきたよ」 「何でしょう、これ」 「ふんどし」 「ふ、ふんどし!?」  この番組の恒例コーナーに、野球拳があるのだ、と俳優は言う。 「じゃんけんして負けた方が、どんどん服を脱いでいくやつ。負け続けると、最後はふんどしになっちゃう」  どうしよう。  ふんどしの締め方なんか、知らないし!  もたもたしていると、俳優が親切に教えてくれた。 「六尺ふんどしみたいに、本格的な奴じゃないからさ。こうして腰の後ろにふんどしを当てて、前でひもを結んで……」  とりあえず、ジーンズの上からふんどしを締めてやり方を覚え、後は……。 「あの。ここで締めなきゃならないんでしょうか?」 「俺たちの前で、裸になって締める?」 「いいね、それ。可愛がってやるよぉ~」  え、と固まった瞬間に、二人はけらけら笑った。 「トイレで締めて来ればいいじゃん」 「秀実くんは、真面目だなぁ!」  耳まで真っ赤にして、秀実はふんどしを持ってトイレに向かった。

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