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第十二章・4

 ふんどしを締めた秀実は、いよいよテレビ番組の収録に入った。  きらびやかな飾りの付いた席に着き、まずは自己紹介だ。 「秀実です。AV俳優やってます」 「秀実くんの作品は、この二本です!」  司会者は、DVDのパッケージを持っている。 「凌辱ものとかやったみたいだけど、怖くなかった?」 「あ、スタッフさんがみんな優しい方ばかりでしたから」 「どうして、AVの道に入ったのかな?」 「ある人に、恩返しがしたくて。それで」 (それは、士郎さんなんだね。秀実くん)  秀実から少し離れた席で、ミチルは唇を噛んだ。  彼は一体、士郎さんの何なのだろう。  今の、現在の士郎さんを知っている、秀実くん。  ミチルもまた、胸の内をざわつかせていた。

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