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第十二章・6

 収録は無事に終わり、秀実は楽屋が同じだった二人に挨拶をした。 「今日はどうも、ありがとうございました」 「いやいや、楽しかったよ」 「すっかり秀実くんのひとり舞台だったね」  また声がかかるといいね、などと言いながら、二人は去って行った。 「ああ、もう声がかかりませんように!」  誰もいなくなった部屋でふんどしを解いていると、突然ドアがノックされた。 「え? あ、すみません! 少し待ってください!」  慌ててパンツを穿いたところで、許しも得ずにドアが開いた。 「どうも」 「ミチルさん」  固まってしまった秀実の体を、ミチルは上から下まで眺めた。 「きれいな線、してるね」 「……」 「どうしたの? 服を着なよ」 「あ、はい」  急いでジーンズとシャツを身につけ、秀実は頭を下げた。 「今日はお疲れさまでした。ありがとうございました」 「目立ってたね。ゲストなのに、レギュラーを食うくらいの存在感だったよ」 「そ、そうですか?」  君と、話がしたいな。  ミチルは、そう誘ってきた。

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