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第十四章・7

 途中、たくさん寄り道をしながら、士郎はプジョーを走らせた。  助手席には、もちろん秀実が座っている。  出発時には硬い表情の秀実だったが、本当に自由な旅行のような行程に、しだいに笑顔が多くなっていった。 「暗くなってきたな。そろそろホテルを探そう」 「ありがとうございます」  秀実の故郷は、休みなく頑張って走れば、夜には着くくらいの距離だ。  そこをのんびり遊びながら走り、途中で一泊入れてくれる士郎の気遣いに、秀実は心から感謝していた。 「ホテルニューオオヤマ。ここにしよう。チェーンホテルだから、まず間違いない」 「そんな高いホテルでなくても、いいですよ!」  何を言う、と秀実を見る士郎の目は、やたら真面目だ。 「初めての二人旅行。素敵なホテルで、ぐっと雰囲気を作らなきゃ!」 「士郎さん、ったら……。でも、ありがとうございます」 「よし、決まりだ」  士郎の車はホテルの駐車場へ、入って行った。

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