109 / 153

第十六章・3

 外部の人間。  士郎さんは、僕の外部の人間なの?  そんなの、イヤだ。 『士郎さん』 「何だ?」 『何でもない。おやすみなさい』 「ああ、おやすみ」  ミチルは、通話を切った。  大きなベッドの上に膝を抱えて、拗ねた。  そこへ、背の高い男がグラスを片手に入って来た。 「電話してたのか」 「うん。友達」  そうか、と男はベッドに腰かけ、ミチルに口づけた。  ミチルは、それに応えた。  強く、激しく。  熱く、淫らに。 「やけにノリノリだな。どうしたんだ?」 「勝大(まさお)さん。僕、欲しいものがあるんだけど」 「何だ? ミチルの欲しいものなら、何だって買ってやるぞ」 「お金で買えるのかどうか、わかんないけど」  ミチルは濡れた唇で、ささやいた。 「近藤組が、欲しいな」

ともだちにシェアしよう!