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第十六章・8
「秀実、明日は履歴書を書くぞ。青原さんに渡しにいく」
「はい……」
「まぁ、向こうからお誘いが来たんだ。書類選考で落ちることは、まずないな」
「はい……」
「どんな役どころなのかな。秀実に合うキャラクターだと、いいな」
「はい……」
何を言っても、はい、しか言わない秀実だ。
これは少し、苛めすぎたかもしれない。
「もし、オーディションに受かったら。結婚しようか、私たち」
「……」
「眠ってしまったか」
これはやはり、プロポーズはきちんとしなさい、という秀実の心の声なのかな?
「可愛いよ、秀実。心から、愛してる」
すやすやと眠る秀実に、士郎は甘く愛の言葉をささやいた。
自分もいつしか寝入ってしまうまで、ささやき続けた。
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