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第十七章・6
士郎のマンションで、秀実は台本を読んで溜息をついた。
「どうでしょう。僕、うまく演技できるでしょうか」
「上手くやろう、なんて思わないことが、秘訣じゃないのか?」
それはそうと、と士郎は秀実にポートワインのグラスを差し出しながら言った。
「ミチルくんも、二次選考通ったらしい。電話があったよ」
「ミチルさんが」
彼の名を聞くと、途端に胸がざわめく秀実だ。
(どうしよう。訊いちゃおうかな、ミチルさんとのこと)
ミチルさんと過去、何かあったんですか?
もしかして、恋人同士だったんですか?
「秀実、もしかして、妬いてくれてる?」
「え!? いえ、いや、そんな!」
でも……。
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