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第十八章・2

 雲一つない、青空。  運命の日は、気持ちよく晴れた。 「私がついて行けるのは、ここまでだ」  試験会場のスタジオに開けたエントランスで、士郎は秀実に告げた。 「本当は、青原監督の隣で観ていたいくらいなんだけどな」 「いいえ。忙しいのに車で送ってくださって、ありがとうございます」 「私は、そこのカフェで待ってるよ。帰りも、送ろう」 「いいんですか?」 「今はノートパソコン一台で、どこででも仕事ができる時代だからな」  そう言って、士郎は手にしたバッグをひょいと掲げて見せた。  にっこり笑った秀実だったが、すぐにその顔は曇った。 「どうした?」 「ここに来て、怖いんです、僕。震えが、止まらないんです」 「それは困ったな」  全く困った秀実だ、と士郎は長い腕で秀実を抱き込んだ。  広いその胸に、抱きしめた。

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