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第二十章 コイツのため、です。

 近藤組の定例会。  士郎は大切な議題を、胸に抱えていた。  今月の業績が報告され、来月の目標が立てられ。  その他、こまごまとした報告がなされ。  通常なら、ここでお開きだ。  だがしかし。 「今日は組長である私から、大事な提案がある」  士郎は組員たちを眺めやった。 「実は、仁道会から傘下に入らないかという申し出があった」  組員たちは皆驚き、憤った。 「近藤組を、ナメていやがる!」 「俺ら、絶対に奴らの下になんか入りませんぜ!」 「抗争になっても、構いません!」  それらの声を聞いた士郎は、胸が熱くなった。 「皆、ありがとう。だが、この組から血を流すことだけは避けたい。そこで私は、考えた。これは、古参の真田も了承済みだ」  それを念頭に、聞いて欲しい。  一同は、静まり返って士郎の話を待った。 「実は……」
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