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第23話 貴方が欲情した声で

「はっ、あぁっ……ン、ぁっ」  自分じゃないみたいに甘い声。英次に触れられる度に、俺、こんな声が出るんだって、戸惑う。  想像したこと、あるよ。  そりゃ、子どもの「好き」とは違うから。英次とこういうことしたら、どうなんだろうって想像したことある。英次のTシャツを着た時にも想像したけど。 「あっ! え、いじ!」 「……どうした?」  想像したのはこんなんじゃなかった。 「あ、の……」  もっと、すごい、きつかったり、するんだと思ってた。 「俺、なんか変じゃね?」 「……何が?」  だって、そんなとこ、もっと違和感とかがすごくて、苦しいのかと思うじゃんか。 「声、とかさ」 「……」 「英次、平気?」 「は?」  男のこんな声、平気? っていう、意味と、もうひとつ。ガキの頃から知ってる俺とこういうことしてるって、その、萎えたりとかさ。 「ひとつ、教えてやろうか」 「?」 「俺がお前のこと、ただの甥っ子だって思えなくなった瞬間がいつだったか」 「!」  英次が俺とこういうことをしたいっていう意味での好きを持った瞬間。そんなのがあるんだってことにも、それがいつだったのかって知ることのできることにも、心臓が飛び跳ねる。思わず、大好きな名前、英次って呼ぶ声が震えるくらい知りたくて、腹の底がぎゅうぎゅう締め付けられる。 「あ、んの?」 「そりゃ、あるだろ」  あるのなら、そんな瞬間があるのなら、教えてよ。英次が俺を好きになってくれた瞬間が、俺の知っている十九年間のどこにあるのか、お願いだから教えて。  俺の中を指で抉じ開けながら、覆いかぶさらないように、体重が乗って苦しくないようにって、英次を支えていた腕を曲げて、しっかりと身体が重なった。そして――。 「お前が俺を、英次、って呼び捨てにした時だよ」  そう耳元で低く掠れた声で囁かれた瞬間、俺の中を広げて慣らしてた指が何かを押した。ぞくぞくって、ものすごい電気の塊みたいなものが俺の内側を壊すみたいに駆け巡って、感電したように身体が跳ねる。 「あっ! やぁぁっ、ぁ、英次っ、何、やだ、それっ」 「変になれよ。俺は」 「あ、やぁぁっン、それ、ビリビリする。なんか、ぁ、ダメってばっ、ぁ、英次っ」 「俺はまだ子どもだったお前に、名前、呼ばれたあの瞬間、もう欲情してたんだから。俺と同じくらい変になれ。それと」  自分の内側なのに知らないところ。指が舐めるように押して、傷つかないように、だけれど、引っ掻いて掻き混ぜる、知らない場所。そこを突かれながら、首筋に噛み付かれて、快感に溺れそう。 「もっと、名前、呼んでくれ」 「あ、やぁぁっン、英次、えいじ、っぁ、だめっ」  飲み込まれて、気持ちイイ熱で身体の内側が一気に染められていく。体温が上昇したのか、全身が濡れていく感じがした。 「やぁっン、やだ、乳首っ」  熱に溺れて溶けちゃいそうだから、大好きな柔らかい髪を掴んでしがみついた。 「名前、凪」 「あ、あぁぁン、英次、お願い」  熱くて指先まで痺れる。お願いだから、内側が熱くてたまらないんだ。そこ、気持ちいい場所をもっとひどくして。もっと、たくさん突いてよ。英次にもっとされたい。 「お願い、英次」  だから、必死に大きな身体相手に手を伸ばした。そして触れる熱の塊に、自然と吐息が零れる。 「英次の、これ、挿れて、俺の中。も、平気だから」 「……」 「これ、欲しいんだ」  英次の硬くて熱くて、今、俺の手の中でドクドク脈打つので、俺の身体いっぱいにしてよ。 「熱くて仕方ないから、英次ので奥まで、お願い……して?」  きゅって握り締めて、数回上下に擦った。自分のじゃない形、太さ、熱さに眩暈がする、太い竿んとこを擦って、くびれのところを爪先でカリカリ引っ掻いて、丸くて太い先を掌で包み込む。ムクムクともっと大きくなるそれが嬉しくて、自分の中も熱くなる。もう指で抉じ開けて擦られた内側。たくさん舐められて濡れたふたつの粒。乳首を丁寧に舐めて摘まれ、齧られて、嬉しいから、もっとして欲しそうに、先をツンと尖らせた。 「英次が、欲し、ぁ」 「掴まってろ……凪」 「あ、あぁぁぁぁっ!」  ぎゅって抱き締められた。そんで、そのまま英次の腕に閉じ込められたまま、指でたくさん可愛がられた孔の口に、英次が突き刺さる。太くて丸くてしっかりとした切っ先に口が広げられて、そのままズブズブって入ってくる、英次の。 「凪っ」  英次が俺の中に。 「あ、え……いじっ、ぁ……英次っ」 「凪っ」  どうしよ。ねぇ、英次。気持ち良くておかしくなりそう。熱に溺れそうだったのに、今、自分の中にある熱が一番熱くて、すごいよ。 「英次、気持ち、イ」 「凪」  もっと名前呼んでよ。 「あっやぁぁっン、あ、あぁっん、あンっ……英次、の、奥、来て、る」  熱くて聞いただけでイっちゃう声で、もっと俺のこと呼んで。 「凪」  突き上げられて、英次の、あの骨っぽくて少し太い指でも届かない奥、そこを突き上げる英次の切っ先に声が止まらない。 「英次っ、もっと、して」  ねぇ、この声、好き? 甘ったるくて、気持ち良さそうな俺の喘ぎ声。俺は、なんか自分じゃないみたいで変だって思うけど、でも、英次のことを呼びながら、我慢せずに声をあげるとさ。 「あぁぁっン、ぁ、んっ」  俺の中ですごい暴れて掻き混ぜてくれる英次のが、もっと、ぐんって大きくなる気がする。もっともっと熱くなって、俺の内側をトロトロにする気がする。ほら、やらしい音。俺の甘い声と同じくらい甘くてエロい音が英次に刺し貫かれて、突き上げられる度にするんだ。 「あ、やだっ……英次、乳首」 「凪の中、きゅんきゅんしゃぶりついてるぞ」 「だって」  乳首をもっと英次にいじってもらいたくて、細い背中をしならせて、その舌先に押し付ける。それを待ってたみたいに、英次の歯で先端の敏感なところを齧られて、ぞわりと興奮が滲んだ。 「やぁっン、すご、それ、気持ちイ、ぁっひゃぁぁっン、そこ、やだっ」  もっと、強くして。じゃないと溺れてどうにかなっちゃうから。必死に英次の首にしがみついて、そんで、キスで呼吸もらって、中を貫く英次にさえぎゅっとしゃぶりつく。  俺の全部で、英次に抱きついて、離れない。壊してよ。俺、英次になら何されたって、絶対に気持ちイイよ。 「あぁ……ン、もっと、いっぱい、して、英次」  唾液が溢れて頬を伝うのもかまわずキスして、脚をはしたなく大きく開いて、英次を身体の奥に招いて、全身使う。英次を俺の中に溺れさせたい。 「凪」  英次の歯で乳首をいじめられたくて、自分から先んとこを尖った歯に擦り付けて、吸ってとねだるように、ぷっくり勃たたせてる。 「凪」 「あっ、ひゃああああ! そこ、や、らっ……ダメ、イっちゃぅ、前、ビリビリするっ、出ちゃう!」  繋がって、ずちゅぐちゅやらしい音が、英次の硬くて太い、ペニスの動きに合わせて聞こえた。それだけでも充分刺激的なのに。 「や、らぁ……おかしくなるってば、イくって」  さっき指でされたら電気が駆け抜けた場所をまるい切っ先で突かれて、太い竿で擦られたら、声止まらないってば。 「え、いじ、俺、もぉ、イっちゃうって」 「あぁ」 「あ、あっ、あ、やぁっ……ン、すご、ズンズンされて、気持ち、イイよ」  激しく乱れた呼吸が肌に触れるのだって気持ちイイ。英次が汗かいてる。それがカッコよくて、俺の中でこうしてるせいで、汗かいてるんだぁって思ったら、なんか、またきゅんって英次のこと締め付けて。ごめん、今、すごい、しちゃった。英次のにすっごいしゃぶりついちゃった。  はぁ、はぁ、しながら、抱きついてたら、英次の大きな掌が俺の前髪をかきあげた。長いって、目を悪くするぞって、親みたいに叱ってた。その前髪をかきあげて、おでこにキスをひとつする。  おでこなのに、また感じてしまう。 「英次?」 「…………好きだ、凪」 「!」  ズルいよ。 「あ、やぁぁっン、イくっ、英次っ! も、ぉ、イくっ、イくっ」  俺の中で暴れながら、そんなカッコいい顔しないで。そんな気持ち良さそうに唸らないで。 「ぁ、ダメっ、英次、イくっ」 「あぁ」 「あ、あぁっン。あぁ、あ、ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」  刺し貫かれて、奥深くに届く切っ先に喘ぎながら、イった瞬間――英次の腕の中に本当に自分すっぽり納まることを実感して、ちょっと本当に嬉しかったんだ。

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