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第27話 ぎゅってしてってば

 もう、無理。無理無理、無理だって。 「え、いじっ」  限界だってば。 「やぁぁっン! 英次っ」  溶ける。英次の口の中で溶けるって。腰が動いちゃうんだって。だからっ。 「あぁぁっ……ン、やだっ、そんなとこ、ぁ、口っ」  気持ち良くて溶けちゃうから。 「英次、ぃ……ン、ぁン」 「我慢すんなっつっただろうが」 「だって、ン、したら、英次」 「汚いわけねぇだろ。こんな綺麗な色した、チ」 「ぎゃあああああああああ!」  慌てて英次の頭を腿でぎゅっと掴んでから、そのまま、身体を丸めてとんでもない単語を言いかけた口を両手で塞いだ。  バカじゃねぇの。バカだ。バカバカ。風呂入ろうっつったのに。俺、今日一日大学で講義受けてたっつうのに、シャワーも浴びないで、人の、そ、そ、そんなとこ、口にしたら、ダメだろうが。 「可愛いな、凪は」 「んひゃあぁン」  甘い悲鳴が上がったのは英次がニコッと笑いながら、俺の、もう限界まで気持ち良くしてもらってピクピク跳ねる先端にキスをされたから。英次の唾液で濡れて、舌に擦られて、唇に扱かれた濃いピンク色をしたそれ。 「孔んとこまで垂れてる。一応、ローションも用意したけど」 「あ、あぁっン」  英次にフェラ、してもらった。蕩けておかしくなりそうなくらいに気持ち良かった。英次の口の中が熱くてたまらない。吸われると腰が浮き上がって、まるで英次の舌に自分から切っ先を押し付けてるみたいで恥ずかしいのに止められないんだ。 「ひゃ、あっ……ぁン」  今も吸われて、腰がビクン、ってした。でも、孔に英次の指が入ってきたから、浮き上がらない。上がらないけど、舌と指で前も後ろも気持ち良くされて、本当に無理だよ。出る。出ちゃうってば。 「え、いじっ」  唇をぎゅっと噛み締めて、熱くてたまらない太腿の間で上下に動く英次の頭を両手で抱えた。柔らかい黒髪を指に絡めるだけでもイっちゃう。英次に触れられると、今、舌でたくさん舐められてるそこが熱くなって、おかしくなる。 「えいじっ」  くぷくぷ、浅く出入りをしてた指が、少しずつ、少しずつ奥に向かって進んでいく。指の柔らかいところで壁を抉じ開けられて、二本の指で割り開かれると、ゾクゾクって、何かが背中を駆け抜ける。 「やぁぁ……ン」  腰は英次に押さえつけられたまま、でも、気持ちイイのが身体の内側でいっぱいに暴れまくるから、なんでもいいからその熱を逃がしてしまいたくて、背中を弓なりに反らせて喘いだ。 「やだぁ、そこ、抓ったら」  その弓なりにしなった身体をなぞる英次のもう片方の手、掌に腹を撫でられて、乳首をきゅっと摘まれた。 「あ、あぁっン、あ、やだっ、英次、えいっ、おかしくなっちゃうっ」  昨日覚えたばっかの刺激。そんなとこ、ただの飾りだと思ってたのに、指で弾かれるだけでもビリビリするくらい刺激に弱くて、そんで、敏感な場所だったなんて。 「ひゃあンっ」  乳首を摘まれて、口の中で溶かされて、孔を英次のが入るようにって慣らすためにトロトロに解されて、もう――。 「や、だぁっ……イくっ、イっちゃうっ、英次、やっ、ダメっ」  ダメって言ってるのに、イっちゃうって言ってるのに、英次の唇がきつく俺をしごいて、吸い付かれて。 「ひぁっ、やぁぁぁぁぁっ……ンっ!」  指先にきゅっと力が篭る。足先まで力んで、そして、すごい我慢してた分、快感が強くて、頭の中が真っ白になった。 「はっ、はぁっ……ン、ぁっえいじ、ン、ぁ、英次、ぃ、あぁぁ、ン」  力んだ身体が指先、爪先からゆっくり緩んで、血がまた流れ始める感じ。すごく熱くて、息が乱れて、腹のところがじわじわしてる。 「英次、えい……も、バカ英次」  快感に溺れる。そんな感じがした。飲み込まれて、理由もなくただだ大好きな人の名前を連呼してたら、ふわりと目の前が翳って、額に柔らかいものが触れた。英次の唇だって気がついて、全身から力が抜ける。  そんなん飲むな。バカ英次。いっぱい、全身気持ち良くされてびっくりするだろ。どこかに飛んできそうな感じがしたじゃんか。だから、必死に英次の頭にすがったけど、でも。 「気持ちよかっただろ」 「……バカ」  よかったけど。全身蕩けたけど。でも。 「英次がいい」 「凪?」  自分から英次の懐に潜った。素肌の英次の下に入って、そこからぎゅっと抱きついたら、英次の心臓の音が聞こえた。 「もっと、英次のことぎゅってしたいんだよ」 「……」 「気持ち良すぎてわけわかんなくなる」  素肌に抱きつくことからして初めて。キスもセックスだって、フェ、フェラ、だって、全部初めてだから、英次がしてくれてるってわかってるけど、気持ち良さが俺のキャパオーバーしてるから。 「英次にもっとしがみついてたい」 「……」 「こうしながら、気持ち良くなりたい」  快感に溺れても抱きついてたらさ、英次の胸があるから平気って思える。この腕の中がいい。 「お前なぁ……」 「まだ、する、んだろ? だって、英次」 「するよ。するから、だから、あんま、煽るな」 「?」  煽った、のか? 俺が? 今? どこで? 「明日も大学あるんだろうが」 「あっ、ン……英次の、おっきい。ぁ……あぁっ、ン、気持ちイイ、よ」 「だから」  指も好き。英次の何もかもが好き。でも、この熱の塊みたいな英次ので割り開かれて、少し息がしにくくなるくらいの圧迫感を味わいながら、英次と繋がれるのは、気持ちイイの中に甘くて優しい「好き」が混ざってて、幸せになる。 「煽るなっつうの」 「あっ! ひゃぁっン、英次、もっと、して」  ズチュ、グチュって響く甘い蜜の音。甘くて美味しいキス。それに。 「英次、気持ち、イイ?」 「当たり前、だろうがっ、煽るなっ」 「好き、もっと、奥して、英次」 「っ」  齧り付くようにキスをされて、お尻んとこを鷲掴みにする英次の指先の強引さに喘ぎながら、奥深くに届く「好き」をぎゅっと全身で抱き締めた。  俺の中で気持ち良さそうにしかめっつらをするこの人のことが愛しくて、キスしたら、英次がなんでか困ってて、嬉しかったんだ。英次を困らせてるのが俺だと思うと、たまらなく嬉しかった。

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