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第40話 独り占めして?
英次の唇って、なんか、すごい。
「あっ! ん、ひゃ」
肌にキスされるだけでクラクラする。
「お前の声って、なんか、すごいな」
「え? 声?」
肌を唇で撫でられただけで、もう呼吸が乱れるんだ。
「聞いてると、ヤバいぞ」
「は? 何、言って、ぁ、やぁって、そこっ」
英次の頭を抱えていた俺は腕の内側、半袖で普段は隠れている、柔らかい皮膚を噛まれて、思わず声を上げた。痛いって感じるギリギリのところを刺激されて、そんで今度はそこにキスをされて、印が、英次の歯の痕が、ほらまたひとつ増えた。俺が英次のものだっていう印。
「あ、あんま、付けちゃ、ダメだって」
「……は?」
「キスマーク」
それがあって、押田に詰め寄られた。キスマークがあるってことは、そういう関係なんだろって。だから、いつかはバレたかもしれないけど、でも、もう少しバレにくいとこなら、もっとずっと長くのんびりと知られずにいられたかもしれない。
「……はぁ? これ、を、あいつは見て、お前に詰め寄ったのか?」
「? うん」
あれ? なんで、そんなに怒るわけ? だって、英次だって言ってたじゃんか。あいつが諦めるしかないと思うくらいにつけるって。だから。
「英次?」
「おい」
低い声。こういう時は大概怒ってる。ほら、こめかみのとこがピクピクしてきた。でも、何? 何に怒ってんの?
「普通にしてたら見えないところにつけたつもりだったが」
「え?」
「どこで、見たんだって?」
あ、すっげぇ、怒ってる。なんか、口元笑ってるし。笑顔が逆にこえぇよ。
「えっと、どこ、かな」
「凪?」
眉間の皺が深くなったから慌てて弁解した。弁解っていうか、あれ、別に何かやましいことをしてたわけじゃな。ただ、ダンスの練習してるのが屋外だったから、暑くて、服をパタパタさせて、内側に風を送り込んだりとか? 芝生の上にゴロ寝した時、腹んとこが捲れたとか? そんなだと、思うんだけど。
「ったく、お前はっ!」
「違っ、俺らはなんも」
「あぁぁぁ?」
仕事、映像関係じゃなくて、あっち方面のほうがあってるんじゃね? ヤ、の付くお仕事。って言いたくなるくらいに極悪人の顔してた。
「たく、俺ら、とか言ってるなよ」
「え? あっ、ちょっ、ひゃあぁぁン」
「ホント……」
英次の頭をぎゅっと抱えた。めくり上げられたTシャツ。俺の作った首輪をすり抜けて、曝け出された乳首にしゃぶり付かれてた。吸われて、舌で、先端をイイコイイコってされて、まだ下は何も脱いでいない下半身がじわっと何か濡れた感じ。
「や、ぁ……乳首、そんな舐め、ぁ……ン」
どんどんコリコリしてくるのが見えてないのにわかる。英次の頭と自分の手で作った輪っかのおかげで見えないけど、でも、舌先で押される度に痛いくらいに硬くなってる乳首を実感した。
「ここに付けたのは、見られたか?」
「そんなっ、とこ! 見られてなんかっ、あっああっあぁぁぁ」
俺の腕の中で英次が溜め息を吐く。
「もしも、これ、あいつに見られたら」
どれ? 英次の口から言われたい。ヤラシイ乳首って、言って欲しい。そうねだるように、「ほら」って誘うように英次の口元でツヤツヤ濡れた乳首がツンと尖ってた。
「見られたら?」
やらしい? 俺の、その粒、ちゃんと、英次のこと誘惑してる? 欲しくなる? 俺以外のなんて、興味なくなる?
女の人のよりも?
「本当に縛ったまんま、部屋に隠すぞ」
「……」
「……引くか? 一回り上の叔父のみっともない嫉妬に」
誰よりも、俺のことが欲しい? いっぱい抱きたいくらいに。
「引かないよ。すげぇ嬉しい」
「……」
「だって、英次のこと束縛して、独り占めしたいの、俺もだもん」
そして笑って、首輪代わりの腕で引き寄せてキスをした。
「あ、やぁぁン、そこ、あんま、擦らない、でってば」
縛ってしまった手首から服が脱げなくて、上、Tシャツを胸の上までめくり上げた状態。足は、ズボンも下着も英次に脱がせてもらった。またイきそうになっちゃうから一生懸命、頭上に上げた腕の内側に口を押さえつけて、我慢してるのに。
「んんんんっ」
俺の中をまさぐる二本の指が意地悪をする。
「ン、んんっ……っん」
くちゅくちゅってやらしい音を立てて、指が動く度に中が柔らかくなって、英次欲しさに指でもかまわないってしゃぶりつく。孔の口が英次のだったらって思いながら、きゅんきゅんって締め付けてしまう。
「凪」
名前呼ばれただけでイっちゃいそう。だって、シャツが乱れてる。白い清潔感溢れるはずのシャツなのに、今の英次が着てると心臓に悪いよ。ドキドキする。その男っぽい首にあったはずのネクタイで俺のことを縛って、その外見で虜にしてさ。
「英次っ」
「気持ち、イイのか?」
「ン」
そして、居心地良さそうに俺の腕で作った首輪の中で笑ってる。髪が乱れるのもかまわず、この腕の輪は自分専用だって嬉しそうに笑わないでってば。ドキドキを通り越して蕩けそうだ。こんな無防備な英次なんて。ホント、頭ぼっさぼさで、それが寝起きみたいで可愛い。普段はカッコいい大人の男が俺の腕の中で嬉しそうに笑って、無邪気だとか、本当にどうにかなりそうだって。
「可愛い顔しやがって。これ、咥えてろ」
「?」
可愛いのはそっちじゃんって言いたかったのに叶わなかった。口元に宛がわれたのは、俺のTシャツの裾。
「ン、んんんっ」
すげぇ恥ずかしい。こんなまるで乳首いっぱい触って欲しいみたいに自分で自分の服を噛んでめくるなんて。でも、もっとたくさん触って欲しいけど、さ。
「お前なぁ、そういうのどこで覚えるんだ?」
「?」
何が? なんてことも訊けないじゃんって思ったのと同時、強く乳首を吸われて、目の前がチカチカした。
「んんんんんんっ!」
刺激に全身が痺れる感じ。
「っ凪、指、しゃぶりつくな。たまんねぇ」
だって、そんなの言われたって無理だよ。こんなの。乳首食まれながら、身体の内側にあるコリコリを指で舐めるように撫でられて、突かれて、たまらず腰が跳ね上がる。乳首を唇で引っ張られて、舌で転がすように舐められて、そんで、身体の中は指でくちゅくちゅ音が立つほどかき混ぜられる。優しくて、たまに焦ったくなるほど繊細で、そして、甘い声をあげるとご褒美みたいに強くされて、気持ちイイ。
「エロくてスケべって、お前なぁ」
「ン、んんんんっ」
溶けちゃう。英次の舌で乳首溶けちゃうよ。奥んとこ、孔の奥も、これ、コリっとしたやつ。
「英次、そこっ、ァっ……前立腺っ」
指に気持ちイイところばっかり攻められて、我慢できなくなって、口に咥えていたTシャツを離した。俺のこと、エロくてスケべにしたのは英次だよ。
「もっと、して。指、あと奥」
俺を見つめる英次だって、すごくエロくてスケベじゃん。その長い指、すっごいエロいじゃん。
「あっンっ……ぁ、あっ」
「凪」
「やぁ……ン、乳首、噛んだら、イっ」
舌がやらしく俺の乳首を舐めて、硬くさせるんじゃん。
「あ、ダメ、英次、イくっ、あぁっ! やっン」
俺のことを抱く英次のほうがよっぽどエロくてスケベだ。キスも、こうして中をほぐされるのも、全部エロくてやらしいから、いけないんじゃん。
「ン、んんんっ! うんーーーーーーっん!」
前立腺を指で押されて突かれて、痛いくらいに張り詰めて、パンパンに熱を溜め込んだ前を握られ扱かれながら、唇に噛みつかれた刺激でイった。大好きな英次の歯が唇に食い込む感じが気持ち良くて、腰を揺らして、掌の中から零れるくらいいっぱい射精、してた。
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