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第41話 お願い

 熱くて、溶けそう。  本当にドロドロに溶けちゃうのかもしれない。なんか、やらしい濡れた音がすごいたくさんしてる。 「お前、少し酔っ払ってるんだっけか」 「ん」 酔ってるのかな。だからこんな、またすぐにイっちゃいそうなくらいに気持ちイイの? 「中、すげぇ、熱いぞ」  額にキスしてくれた。瞼にも、キスしてくれて、自然と目を瞑ると、今度は唇にキスしてくれる。ほら、やっぱどっか溶けてるんだ。キスの音が――。 「ン、英次っ……ぁ、ンっ……」  指が俺の中から抜けていくだけで、こんな甘い声が零れる。 「平気か?」 「ン、大丈夫。英次、これ、解かないで」  俺のこと縛ったままでいて。  首にある俺の腕で作った輪っかを解こうとするから、慌てて腕でぎゅっとしがみ付いた。 「英次……」  触れてないのに英次の体温が自分の肌をじんわりと火照らせるのがわかる。英次もたくさん、興奮してる? 俺のこと、早く、抱きたいって思ってる? 「待ってて。ちょっと、英次、寝てよ」 「? は? おい、凪」  体勢を入れ替えて、今度は英次が寝転がった。俺はそこの脇にぺたんと座って、そんで、天井に向かって立ち上がる英次の硬くなったそれを両手で握り締める。すごい熱い。 「おい、凪、お前はそんなんしなくていい」  すごく硬くて、握ったらドキドキした。だって、これは俺に興奮してくれたから、こんなになってる。俺のこと抱きたいって思ったから、こんなに熱くて硬いんだ。 「なんで? 前に英次が俺にしてくれたじゃん。俺もしたい」 「なっ……」 「口で、英次のこと気持ち良くさせたい。だってさ、これ」 「っ」  手で上下に扱いたら英次が喉奥で息を詰めて、眉を寄せた。 「凪っ、こらっ、おいっ」 「ン……えい、ひの……ん」 「バカっ、凪、口放せっ」 「やら……」  英次にもどろどろになって欲しいんだ。俺のことが欲しくて欲しくてたまらなくて、頭がおかしくなっちゃうくらいに溶けて。そんで、俺みたいに気持ち良くなって、虜になってよ。  俺が英次じゃなくちゃイヤみたいに。もっと、俺のこと、好きになって。 「ンっ……ん」 「な、ぎっ」  口の中、気持ちイイ。 「んんっ、ン、んっ……ん」  口の中で舌を動かすと、英次のがビクンって跳ねる。その切っ先に頬の内側を擦られるとゾクゾクした。 「なぎっ」  名前を呼ばれて、口に咥えたまま、視線を向けると、英次がすごく苦しそうな顔をしてた。 「……ン」  気持ちイイ? 俺がしてあげてるのに、どうしよ。ねぇ、俺も気持ちイイ。英次の指で髪をすかれるとイっちゃいそうで、撫でられて喜ぶ猫みたいに大きな掌に頭を預けながら、いっぱいしゃぶって、太い竿のところを舐めて、ゴリゴリして丸い先端にキスをした。 「ンっ、ぁっ」  手は縛ったまんまだから使えなくて、一生懸命に口に含むんだけど、たまに跳ねるから。それをまた追いかけてキスをしてそのまま、すぼめた頬で扱きながら中へと招いて。ちゅって音を立てて吸った。 「えい……イ……ン、んっ、ンく」 「凪っ」  先走り、苦いのに……なんで? 「ン、英次」  丁寧に舐めたくなる。もっとやらしくフェラ、したくなる。どうしよう。舐めてたら、ねぇ、俺、なんか変だよ。ジワジワ熱が上がって、背中がざわつく。尾てい骨の辺りがビリビリして、もう、英次のこれが欲しくて孔の口がヒクついてるのがわかる。きゅんって締めて、まだ? って、欲しがってる。 「んんっ」  くびれのところを唇で扱いたら、英次のそれがビクビクって勢いよく跳ねた。口から逃げてったそれを追いかけて、またキスしようとしたのに。 「凪っ」 「ン」  英次の手がそれを止めた。 「英次?」  なんで? 今、きっとすっげぇ気持ち良かったはずなのに。ビクンって跳ねたの、よかったから、じゃん? そのまま口でしたげるのに、なんで、止めんの? そう訊きたくて首を傾げたら、英次が辛そうなしかめっ面で「もういいから」って呟いた。呼吸が荒くて、苦しそうだったから、気持ちイイんだと思ったんだけど、下手った? 「ごめ、気持ち良くなかった? 俺、よくわかってなくて。英次の真似したんだけど。っつうか、その、俺が口でしながら気持ち良くなっちゃってた。ごめん」  夢中になってて気が付かなかったけど、歯が当たってたとか。それとも技術がなさすぎて下手すぎて、気持ち良くなんて到底なれそうもなかった? 「あ、もしかして……痛かっ、……」  英次の親指が俺の唇をなぞった。っていうか、拭った。きっと、今、口でしてたから、涎? がすごかったとか? 「ン、ぁっんくっ……ンぶ」  だらしなかった? 英次の親指が唇だけじゃなくて、歯の切っ先を撫でて、舌を押した。太い親指で舌をぐりぐりされて、どうしよ。これも、なんでか気持ちイイ。 「ホント、閉じ込めておきてぇ」 「ん、えいひ?」 「お前が可愛くて、たまらない」  口の中を指で犯された気分。唾液まみれになった唇をそうさせた親指で強く擦られて、濡れた感触にゾクッとする。さっき、たくさん掻き混ぜてもらった身体の奥、そこよりももっと奥が力を込めて縮こまった。もう知ってる。 「英次……」  俺、この奥のところを英次に突いてもらうと、たまらなく気持ち良くなっちゃうって、知ってる。 「あのさ」  また腕で作った輪っかで英次の首を拘束した。そして、ちょっと恥ずかしいけど、ベッドの上に座る英次を跨いで、膝立ちになる。いつもは見上げるばっかりの好きな人を見下ろして、キスをひとつ落とした。 「今日、俺の中に出して」 「……」 「お願い」 「ダメだ。お前、腹壊すぞ」  言うと思った。だって、いっつも英次はゴムをしてくれる。俺を大事に思ってくれてるのわかってるけど、でも、やだ。今日はゴムしないで欲しい。 「いい。腹痛くなってもいいから、英次と生でしたい」  おねだりのキス。 「ダメだっつうの」 「やだ。お願い」 「あのなっ、俺はお前のことを」 「英次のものって印、つけてよ」  キスマーク、中にもつけて。キスじゃないかもだけど、とにかくなんでもいい。英次のものだって全身に印をつけて。 「マーキング、奥にも、して?」  どろどろになりたい。英次とやらしいセックスして、奥に英次のものだって印刻み付けられたい。 「お願いだから、して……中に、して」  おねだりの甘い甘いキスをして、英次の唇に噛み付いて、歯型の残ったそこを舐めた。丁寧に、腹の空いた猫がミルクを飲むみたいに唇を舐めて、誘惑をした。 「ったく」  そう低く呟いた英次の指が尻に食い込んで、割り開くように左右に広げただけで、早くって俺の奥が熱に痺れてた。

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