42 / 88

第42話 ドロドロ

「あっ」  お尻を掌で割り開かれただけで、ゾクゾクした。もう奥が、知ってるから。英次とセックスしたら気持ちイイってわかってるから、期待で身体が震える。孔の口がきゅんきゅんする。 「凪、そのままゆっくり腰、落としてみろ」 「ぁ、あっ……あぁぁっ」  口んとこが、英次の太さに広がる。英次の声は俺にとって特別なんだ。子どもの頃から、ずっとこの声に飛び上がって心臓が跳ねて踊るくらい、大好きな声だから。 「凪っ」 「あぁっ……ン、英次の、かた、いっ」  その声が俺の名前を切なげに呼ぶだけで、嬉しくて身体が悦ぶ。 「あぁぁぁっ、ンぶっ、んんんっ……っ」  一番太いところを飲み込んで、そのまま自分の体重も使って、英次を身体の中に突きたてていく。太くて硬い熱の塊に身体の中心を刺し貫かれて、本当にドロドロになりそう。 「軽く、イったか?」  うなじを掴んで引き寄せると、英次の唇が耳に触れながら、そう囁いた。イったよ。ふたりの肌にさっき英次の掌で放った残りみたいに少しだけれど、たしかにイった。そして、白いトロンとしたそれが肌の上をゆっくり伝ってく。 「触ったら、やだ」 「なんで? これも感じる?」  コクンって頷くと、英次が嬉しそうだった。そんな、俺の吐き出したものを掌で撫でるなよ。恥ずかしいじゃん。そして俯く俺を見て満足そうに笑ったりして。感じるに決まってる。英次にされて気持ちよくないことなんてひとつもない。それどころか、放ったものでそんなことをされて、どろどろになる。 「英次……」  どろどろになりたい。 「凪、こら、締め付けるなよ」 「ン、ぁっ……うん。だって、英次のすごいから、いけないんじゃん」 「お前の中、熱い」  何、これ。熱くて溶ける。ゴム越しじゃないから? それとも、今少し酔っ払ってるから? さっき指で解してくれてた時、英次が酔っ払ってるから中が熱いって言ってたけど。だから、なの?  生で繋がったら、本当に溶けちゃうかもしれない。 「英次の、が、アッ、ン、ぁ……熱い」 「お前のここ、奥」  根元までみっちり咥え込んでる。後ろに手を伸ばして、繋がった場所を指先で撫でたら、怒られた。触るなって。ちょっとだけなのに、指先で少し触れただけなのに。 「奥までトロトロだ。ったく、ひと回り年上の理性を一瞬で吹き飛ばすような、スケベなキスしやがって」  キスだけ? 今繋がってる、俺の身体は英次をトロトロにできるくらいスケベになれてる? この身体は英次を夢中にさせられる?  そう訊こうと口を開いた途端、今度は俺が噛みつかれた。下からガブッてされて、舌を口の中に突っ込まれて、力任せのキスは乱暴なのに、甘くて美味しくて、もっと欲しくなる。 「っ、凪」 「あっ、やぁっ……ン」  ジャンプするように、身体が英次の上で跳ねた。 「凪っ」  英次が下から激しく俺のことを突き上げたから、ぴょんって跳ねて、そしてまた深くに沈む。中心を熱の塊に射抜かれたまま、突き上げに揺れて沈んで、また揺れる。 「あっ、あぁン、ぁ、英次っ、えい、っン」  腕の輪っかで大好きな人を世界中から奪って、独り占めした気分がした。 「ひゃぁっン、そこ、やっ、イっちゃうって」  英次は俺の、だよ。 「あぁっン、あンっ、ダメ、だめ、イくっ」  下からもっと突いて欲しくて、貫かれたくて、足を大胆に開いた。繋がってるところを英次にも丸見えにしながら、奥を掻き回す英次のペニスに自然と気持ち良さそうな声が零れた。 「凪っ」 「あ、あぁっン、英次、イくっ、俺、もぉ、イっちゃう」 「な、ぎ」  振り落とされないように、ぎゅっと首にしがみ付きながら、指先で英次の後頭部を撫でてた。髪の間を指でとかすように撫でて、英次の頭をこっそりボサボサにした。あの完璧そうな英次の乱れた髪形なんてそうは見られないから。 「英次、中、して? 俺の中で、イって?」 「凪っ」 「中に欲しい、英次のが、欲しい、よ」  険しい表情。眉をひそめて、しかめっ面で、怒ってるような苦しそうな。でも、その声が、乱れた呼吸が甘かった。 「して、中に、出して」 「っ」  全身使って英次にしがみついてた。きゅんって孔の口でも英次にしゃぶりつきながら、奥を何度も激しく突かれる快感に溺れそうで、キスを欲しがる。名前を呼んで、英次の肌に爪を立てた。 「あぁっ……」  もう、イっちゃう。 「好き、英次のことが」  英次の声に、中を掻き混ぜる雄に、のぼせながらキスをした。 「凪っ」  腰を強く掴まれただけで快感になる。指が肌に食い込むのすら気持ちイイ。 「ン、ぁっあぁぁっン! ぁんっ……ン、あっ、あぁっ……ぁ」  ぱちゅん、ぱちゅんって、濡れた音が突き上げられる度に耳を犯して、全身が蕩ける。 「英次っ」 「っ」  どろどろに溶けて、全身が熱になったみたい。 「もっ、ダメっ」  しがみついて、腕の輪っかで締め付けて、英次の唇に噛みついた。 「ン、んんんんんんんっ!」  壊れそうなくらい突き上げられて、奥深くをズンズン貫かれて、いつもイっちゃうけど。 「んんっ…………っ!」  中で英次の熱が弾けたのを感じた。びゅくって弾けて、一瞬で俺の中が英次と同じ体温になっていく。 「あぁぁぁぁっ……ン、ぁ、すご、い……英次の、いっぱい」 「っ」 「ン、ぁ、気持ちイイ」  中で射精した後、ビクンって跳ねて、奥を少しだけ深く貫かれて、孔の口がしゃぶりつく。イって、そんで、英次も俺の中でイって、なんか、やばい。 「中が英次でいっぱいだ」  ドクドクと流し込まれる英次の欠片が嬉しいんだ。 「凪、こら、締めるなよ」 「だって、無理、英次ので俺の中ドロドロなんだもん」 「止まらなくなるだろ」  もっと、俺の中を英次でドロドロにして。この身体に英次の体液を染み込ませてよ。全部溶け合いたいんだ。今、抱き合ってしてるキスみたいに、英次と絡まり合いって、混ざりたい。 「やだ。もっと、してよ」  そうおねだりしながら、中でまだ太いままの英次をやらしく締め付けた。

ともだちにシェアしよう!