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第42話 ドロドロ
「あっ」
お尻を掌で割り開かれただけで、ゾクゾクした。もう奥が、知ってるから。英次とセックスしたら気持ちイイってわかってるから、期待で身体が震える。孔の口がきゅんきゅんする。
「凪、そのままゆっくり腰、落としてみろ」
「ぁ、あっ……あぁぁっ」
口んとこが、英次の太さに広がる。英次の声は俺にとって特別なんだ。子どもの頃から、ずっとこの声に飛び上がって心臓が跳ねて踊るくらい、大好きな声だから。
「凪っ」
「あぁっ……ン、英次の、かた、いっ」
その声が俺の名前を切なげに呼ぶだけで、嬉しくて身体が悦ぶ。
「あぁぁぁっ、ンぶっ、んんんっ……っ」
一番太いところを飲み込んで、そのまま自分の体重も使って、英次を身体の中に突きたてていく。太くて硬い熱の塊に身体の中心を刺し貫かれて、本当にドロドロになりそう。
「軽く、イったか?」
うなじを掴んで引き寄せると、英次の唇が耳に触れながら、そう囁いた。イったよ。ふたりの肌にさっき英次の掌で放った残りみたいに少しだけれど、たしかにイった。そして、白いトロンとしたそれが肌の上をゆっくり伝ってく。
「触ったら、やだ」
「なんで? これも感じる?」
コクンって頷くと、英次が嬉しそうだった。そんな、俺の吐き出したものを掌で撫でるなよ。恥ずかしいじゃん。そして俯く俺を見て満足そうに笑ったりして。感じるに決まってる。英次にされて気持ちよくないことなんてひとつもない。それどころか、放ったものでそんなことをされて、どろどろになる。
「英次……」
どろどろになりたい。
「凪、こら、締め付けるなよ」
「ン、ぁっ……うん。だって、英次のすごいから、いけないんじゃん」
「お前の中、熱い」
何、これ。熱くて溶ける。ゴム越しじゃないから? それとも、今少し酔っ払ってるから? さっき指で解してくれてた時、英次が酔っ払ってるから中が熱いって言ってたけど。だから、なの?
生で繋がったら、本当に溶けちゃうかもしれない。
「英次の、が、アッ、ン、ぁ……熱い」
「お前のここ、奥」
根元までみっちり咥え込んでる。後ろに手を伸ばして、繋がった場所を指先で撫でたら、怒られた。触るなって。ちょっとだけなのに、指先で少し触れただけなのに。
「奥までトロトロだ。ったく、ひと回り年上の理性を一瞬で吹き飛ばすような、スケベなキスしやがって」
キスだけ? 今繋がってる、俺の身体は英次をトロトロにできるくらいスケベになれてる? この身体は英次を夢中にさせられる?
そう訊こうと口を開いた途端、今度は俺が噛みつかれた。下からガブッてされて、舌を口の中に突っ込まれて、力任せのキスは乱暴なのに、甘くて美味しくて、もっと欲しくなる。
「っ、凪」
「あっ、やぁっ……ン」
ジャンプするように、身体が英次の上で跳ねた。
「凪っ」
英次が下から激しく俺のことを突き上げたから、ぴょんって跳ねて、そしてまた深くに沈む。中心を熱の塊に射抜かれたまま、突き上げに揺れて沈んで、また揺れる。
「あっ、あぁン、ぁ、英次っ、えい、っン」
腕の輪っかで大好きな人を世界中から奪って、独り占めした気分がした。
「ひゃぁっン、そこ、やっ、イっちゃうって」
英次は俺の、だよ。
「あぁっン、あンっ、ダメ、だめ、イくっ」
下からもっと突いて欲しくて、貫かれたくて、足を大胆に開いた。繋がってるところを英次にも丸見えにしながら、奥を掻き回す英次のペニスに自然と気持ち良さそうな声が零れた。
「凪っ」
「あ、あぁっン、英次、イくっ、俺、もぉ、イっちゃう」
「な、ぎ」
振り落とされないように、ぎゅっと首にしがみ付きながら、指先で英次の後頭部を撫でてた。髪の間を指でとかすように撫でて、英次の頭をこっそりボサボサにした。あの完璧そうな英次の乱れた髪形なんてそうは見られないから。
「英次、中、して? 俺の中で、イって?」
「凪っ」
「中に欲しい、英次のが、欲しい、よ」
険しい表情。眉をひそめて、しかめっ面で、怒ってるような苦しそうな。でも、その声が、乱れた呼吸が甘かった。
「して、中に、出して」
「っ」
全身使って英次にしがみついてた。きゅんって孔の口でも英次にしゃぶりつきながら、奥を何度も激しく突かれる快感に溺れそうで、キスを欲しがる。名前を呼んで、英次の肌に爪を立てた。
「あぁっ……」
もう、イっちゃう。
「好き、英次のことが」
英次の声に、中を掻き混ぜる雄に、のぼせながらキスをした。
「凪っ」
腰を強く掴まれただけで快感になる。指が肌に食い込むのすら気持ちイイ。
「ン、ぁっあぁぁっン! ぁんっ……ン、あっ、あぁっ……ぁ」
ぱちゅん、ぱちゅんって、濡れた音が突き上げられる度に耳を犯して、全身が蕩ける。
「英次っ」
「っ」
どろどろに溶けて、全身が熱になったみたい。
「もっ、ダメっ」
しがみついて、腕の輪っかで締め付けて、英次の唇に噛みついた。
「ン、んんんんんんんっ!」
壊れそうなくらい突き上げられて、奥深くをズンズン貫かれて、いつもイっちゃうけど。
「んんっ…………っ!」
中で英次の熱が弾けたのを感じた。びゅくって弾けて、一瞬で俺の中が英次と同じ体温になっていく。
「あぁぁぁぁっ……ン、ぁ、すご、い……英次の、いっぱい」
「っ」
「ン、ぁ、気持ちイイ」
中で射精した後、ビクンって跳ねて、奥を少しだけ深く貫かれて、孔の口がしゃぶりつく。イって、そんで、英次も俺の中でイって、なんか、やばい。
「中が英次でいっぱいだ」
ドクドクと流し込まれる英次の欠片が嬉しいんだ。
「凪、こら、締めるなよ」
「だって、無理、英次ので俺の中ドロドロなんだもん」
「止まらなくなるだろ」
もっと、俺の中を英次でドロドロにして。この身体に英次の体液を染み込ませてよ。全部溶け合いたいんだ。今、抱き合ってしてるキスみたいに、英次と絡まり合いって、混ざりたい。
「やだ。もっと、してよ」
そうおねだりしながら、中でまだ太いままの英次をやらしく締め付けた。
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