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第8話

 思えばずっと、人に誇れるつきあいなどしてこなくて、それに疑問すら持たなかった。スタートから違うのだからと、世の中を斜めに見る癖がついた。  真っ直ぐな気持ちをぶつけられて初めは戸惑って、そのうち自分が持つことが叶わなかった思いに、嫉妬や怒りも沸いてきて汚したくなった。  気持ちに応える気なんてないと思っていたのに、完全に突き放すこともできなくて。支離滅裂で、つくづく嫌な性格だと思う。  一緒にいたら、世間的に見たらそれ程人生を重ねていないのに、自分がとても年をとった人間に感じてしまう恐怖もある。  簡単に受け入れられるわけがない。  そう思っているのに強く惹かれ、強く抗う。自分がバラバラになってしまいそうになるほど、十代の子に揺さぶられてしまう自分。  けれど、出逢いを呪ったってもう遅い。 「俺、逃げ道いりませんから」  唐突に、だが真剣に切り出された。 「正道さんにとって、俺は頼りないばっかりだと思うけど、俺これから頑張ってちゃんとした大人になります」  頼むから、これ以上畳みかけないでくれ。自分をさらけ出したしたくなってしまう。  きっと「そうしてくれたらうれしい」なんて満面の笑みで言うんだろうけれど、まだ早すぎる。今は恨まれても、悲しまれても曲げるわけにはいかないから。

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