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(3)求め
北に近いこの村の厳しい雪と氷の季節が過ぎ、村のあちこちが雪解けでぬかるむ頃、リンデルに忠誠を誓う従者は、小柄な体格に見合わない大きな荷物を抱えて鳥車を降りた。
ロッソがノックをするより早く、リンデルが勢いよくその扉を開ける。
「ロッソ! 久しぶり!!」
不意打ちの、金色に弾ける笑顔に、ロッソはびくりと肩を揺らして固まった。
「ゆ……」
リンデルの後ろから、カースが顔を覗かせる。
ロッソが、みるみる赤く染まってゆく頬を長い前髪で隠すように俯く。
「こら、驚かせてどうする」
リンデルを嗜めつつ、カースはロッソの大荷物に手を伸ばした。
「これ、持ってもいいか?」
「は、はい、ありがとうございます……」
ロッソが俯いたまま答える。
思ったよりもずっと重いその荷を、男が片腕でなんとか持ち上げると、リンデルが「俺運ぶよ。多分俺の甲冑だし」と受け取って奥へと引っ込んだ。
カースの記憶より、その肩がさらに細くなったような気がして、男はロッソの肩をそっと撫でた。
「……良く来たな、ロッソ」
名を呼ばれて、ロッソが慌てて顔を上げる。
ロッソはまだ挨拶すらしていない。
主人の大切な方に、こんな、礼を欠くような事はあってはならない。
けれど、顔を上げたロッソは、上から優しく見つめる森色の瞳に心を奪われて、次の言葉を失った。
「…………」
「疲れただろう。中に入れ」
カースはわずかに苦笑を浮かべると、こちらをじっと見つめたままのロッソの肩を引いて室内へ招き入れた。
我に返った従者は、リンデルとカースにこれまでの不義理を丁重に詫びると、サッと食卓の上へ書類を広げ、主人にこの一年間で起こった出来事を報告し始めた。
カースは二人にお茶を出すと、そのままキッチンで何やら時々考え込みながらも料理の下拵えに取り掛かる。
久々に会ったロッソを、カースが出来る範囲でもてなそうとしている事に、リンデルが気付く。
ふと背中に視線を感じて、カースが振り返る。
目が合って、リンデルがニコッと微笑む。
どうやら、カースの気持ちが嬉しかったようだ。
しばらくして、この部屋に一つだけの窓のカーテンが閉じられる。
カースが訝しがって振り返ると、ロッソが男を呼んだ。
食卓を覗き込めば、そこへは大量の金貨が積まれている。
「……なんだ。この、量…………」
カースの言葉の終わりは、掠れていた。
「国王より賜りました、支度金です」
「これ、全部が…………?」
「うん。余っても、返さなくていいんだって」
けろりと、むしろ嬉しそうにリンデルが答える。
「これだけあれば、帰ってすぐ孤児院が建てられるね」
「孤児院……?」
「あれ、ロッソには言ってなかったっけ? 俺、親のいなくなった子ども達集めて、孤児院作りたいんだ」
言われてロッソは暫し考える。
確かに、ずいぶん昔に、主人の口からそんな話を聞いた事はあった。
ただ、それは、魔物が食い散らかした、親だったものの残骸に縋って泣く子を見た後で、その時の……、一時の思いだったのだと思っていた。
「あれは……本気……、だったのですか……」
「俺はいつでも本気だよ?」
さらりと返されて、ロッソは確かに。と思う。
主人は冗談を言わないタイプではなかったが、それでも、こんな事を冗談にする人ではなかった。
それにしても……。
「せめて退任前に仰ってくだされば、私にも出来る支度があったのですが……」
「それは……ごめん。ロッソが忙しそうだったから、つい、言いそびれちゃったんだ」
リンデルは自分の首の後ろへ手を回すと、申し訳なさそうに苦笑いを見せる。
ロッソはため息をひとつ吐いて、仕方のない主人を許す事にする。
ふと、視線を感じてカースを見上げると、男はその二色の瞳に同情の色を浮かべていた。
目が合って、男はロッソへ苦笑を見せる。
まるで「お互い苦労するな」とでも言われたようで、ロッソは「こちらこそ、半年もの間主人の面倒を見ていただき、ありがとうございます」との気持ちを込めて、深々と頭を下げた。
そんなロッソに目を細めて応えたカースが「ああそうだ」と口を開いた。
「お前の分のベッドも、用意してあるからな」
「……え?」
ロッソが目を丸くする。
そこへリンデルが、嬉々として続ける。
「俺とカースで買っておいたんだ。山の雪解けまで、まだしばらくかかるだろう? それまでは三人で……」
リンデルの言葉はそこで一度途切れた。
「いや、違うな。これからはずっと、三人で暮らそう」
「え、わ…………、私……も、一緒に、ですか!?」
ロッソが珍しく、動揺を顕にする。
「ん? だって、ロッソはこの先一生、俺に仕えるんだろう?」
それは確かにそうだ。けれども、ロッソには、この新婚のような二人の間に割り込むつもりなど、毛頭なかった。
自分は近くに住居を用意し、通いで仕えるつもりだった。
「いえ、その、私は……、お二人の邪魔をしてしまうと申し訳ないですし……」
オロオロと困った様子で遠慮するロッソの頭を、カースが撫でた。
「そんなことは気にしなくていい」
低く、柔らかな男の声。そこへ明るい高めのリンデルの声が続く。
「そうだよ、気にしな……いや、今まで気にしてなかったじゃないか!」
「それは、仕事上、仕方なく……」
「じゃあ本当は、気にしてたんだ?」
「もちろん、です……」
俯いて目元を隠した従者の、隠れていない耳が赤く染まるのが見える。
リンデルはふとカースを見上げる。
「カースも、いいかな?」
「……普通、俺に許可を取るのが先じゃねぇのか? 一応ここは俺の家だぞ」
カースのうんざりするような言葉に、ロッソが慌て顔を上げる。まさか、主人のこの発言に事前の打ち合わせが全く無かったなんて。
けれど、口調と違ってカースは柔らかく苦笑を浮かべていた。
「けどまあ。お前ならそう言うと思ってたよ」
ポンとカースの大きな手がリンデルの頭を撫でる。
ふふふ。とリンデルが、まるで男の答えをわかっていたかのように満足そうに微笑むのを見て、ロッソはじわりと疎外感を感じ目を逸らす。
そんな仕草に、気付かないのがリンデルなら、気付くのがカースだった。
「悪いな。俺みたいなのが一緒じゃ、お前の気が休まらねぇかも知れんが……、まあ、ロッソが嫌じゃなければ、俺には遠慮しないでいい」
言って、カースは宥めるようにロッソの髪を撫でる。
「そ、そんなことは……」
「ほら、カースもいいって言ってるから、ロッソも一緒に三人で暮らそう」
リンデルが、ニコッと人懐こい笑顔を見せる。
半年前に染めた髪はもう伸びて、後ろで一つに括られている。
リンデルの顔まわりはまた柔らかな金色に包まれていた。
「お……、お二人が……良いのでしたら……」
ロッソはなんとかそれだけ伝えると、また俯く。
「お気持ち、有り難く……頂戴します……」
か細くなる声で、それでもなんとか感謝を告げるロッソの頭を、リンデルが嬉しそうにぐりぐりと撫でる。
「よし、決まりだね。じゃあ、戻ったらこのお金で孤児院付きの家を建てよう!」
ウキウキと言いながら、リンデルが金貨の山を袋へ戻す。
カースは、リンデルが金貨をしまい終えるのを見届けると、カーテンを開いた。
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その日は、遥か遠くの山まで見晴らせる清々しい快晴だった。
「うん、出立には最高の天気だね」
鳥に跨ったリンデルは、朝日に腕を翳すと目を細めて言う。
「忘れ物はないか?」
同じく鳥に乗ったカースの言葉に、金色の青年が苦笑する。
「カース、お母さんみたいだよ」
「お前、母親のことそんな覚えてんのか?」
「世間一般の話」
最後に家から出てきたロッソが扉に鍵をかけながら問う。
「主人様、お忘れ物はございませんか?」
その言葉にリンデルはげんなりし、カースは顔を背けて笑いを堪える。
「こちら、食卓に残っておりましたが?」
ロッソに包みを差し出され、リンデルがぎくりと顔を引き攣らせる。
「あ、ありがとう……」
後ろでカースが小さく吹き出すのを聞きながら、リンデルは包みをしょんぼり受け取った。
村を経って二日も過ぎれば、道中で人に会うこともなくなった。
なるべく鳥に乗って進める道を選んではきたが、それでも切り立った山々を前にして、五日目には鳥を降りねばならなくなった。
「こんな感じでいいかなぁ」
リンデルが、鳥を繋いだ綱へナイフで切れ目を入れている。
自分達が戻らなかった時に、暴れれば綱が切れるよう細工をしているようだ。
それを覗き込んだロッソが僅かに眉を寄せる。
「私達が帰還する前に逃げられては困ります」
ロッソが綱を結び直しているところを見るに、どうやらリンデルは綱を脆くし過ぎたらしい。
「野生に混じって生き残れるかなぁ……」
心配そうなリンデルの声に、カースがその頭を優しく小突く。
「そっちを心配すんじゃねぇだろ。帰って来ればいいだけだ」
「ん、そっか。そうだね」
リンデルは振り返ると、ふわりと笑って男に口付ける。
カースの細工した綱を確認して振り返ったロッソが慌てて目を逸らすのを見て、カースは心の中で従者へそっと詫びた。
カースには意外なことがひとつあった。
リンデルにあんな質問をされて、カースは悲壮なまでの覚悟をしていた。
リンデルが、ロッソと夜をともにしても、何も言うまいと。
けれど、リンデルは相変わらず毎晩を男と過ごしたし、ロッソのリンデルを見る目は変わっていなかったものの、二人の間にそんな空気は感じられなかった。
ならば、あれはどう言う意味だったのか。
それとも、俺が死んだ場合の話だったのだろうか。
疑問は胸に残っていたが、尋ねるきっかけもないまま今日に至る。
「ほら行くぞ。日が暮れるまでに野宿するところを見つけねぇとだろ?」
カースは、視界の端で行先を確認しているロッソに応えるように、リンデルを引き剥がした。
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「主人様! 後ろです!!」
「任せた!」
ロッソが腕を振る。
投げナイフがリンデルの背後の魔物に突き立つ。
リンデルは振り返らずに、ロッソの斜め後ろから飛びかかる魔物へと裂帛の気合と共に剣を振り下ろした。
ギャウッと潰れるような悲鳴をあげて、四つ足の魔物が地に伏す。
まるで流線を描くように、二人は最低限の動きで流れるように五体の魔物を倒していた。
見事な連携に男は感嘆する。
カースは、足元の魔物が完全に沈黙したことを確認すると、魔物の口を縫い止めるように地に突き立てていたダガーを引き抜いた。
「流石、元勇者様にその従者様だな」
カースの言葉にリンデルは破顔し、ロッソは謙遜する。
男に出来たことといえば、ロッソの投げたナイフの毒が回るまでのほんの少しの間、魔物を一体押さえていた程度の事だった。
それでも、ロッソはカースが予想以上に動けることを歓迎してくれたが、リンデルは心配だから下がっていて。と無茶を言った。
鬱蒼と茂った森の中、視界は悪く、囲まれてしまえば下がりようもない。
男は二人の荷物にならずに済んだ事にホッと胸を撫で下ろしながら、山道を進んだ。
ここまでも魔物に会うことは度々あったが、この森に足を踏み入れてからは出現頻度が格段に高まった。
何とか日が暮れる前に開けた場所を見つけることができた三人は、そこを野営地とした。
「お前達は先に少しでも休め」とカースに言われ、まだ日は暮れたばかりだったが二人は横になっていた。
魔物は、野生動物ほど火を怖がってはくれない。
それでもこの山の中、何が出てくるかもわからない場所で、火を焚かずに過ごす選択肢は無く、カースはその番をしていた。
火を挟んで反対側に、ロッソが背を向けて横になっている。
リンデルは、はじめ男に膝枕をねだっていたが「いざって時に足が痺れてちゃ洒落んならん」と却下され、ロッソにまで「主人様、あまり我儘を仰らないでください」と嗜められ、しょんぼりと男の隣で横になっていた。
リンデルが寝付くまで、カースは宥めるようにその髪や頬を撫でていたが、すぅすぅと静かな寝息を立て始めたのを見て、そっと手を下ろした。
火はまだしばらく、このままでいいだろう。
男は木に背を預けると、目を閉じる。
眠らないよう気は張り詰めながらも、体の力を抜いてゆく。
こうやって体を休めるだけでも、多少は疲労を回復できる。
これも、盗賊時代にあいつから教わったことだった。
どのくらい経っただろうか。
じわり、と斜め後ろから嫌な気配を感じた。
目を開けば、木々の隙間から僅かに見える空の星は、目を閉じる前より手のひら分ほど傾いている。
ロッソとリンデルはまだ寝ているようだし、相手は気配から察するに一体だ。
男は音を立てずに立ち上がりながら、ぐいと髪を掻き上げた。
鳥を降りてから、男はもう左目を隠してはいなかった。
術の効く相手であることを祈りつつ、男が魔物の方へ歩を進めた瞬間、リンデルの声がした。
「俺が行くよ」
「いえ、主人様はお休みになっていてください」
ロッソの声も続く。
まさか、この二人は眠っていてもこの距離から魔物の気配に気付けるのか?
男は内心唖然としつつも、魔物のいる方向から目を逸らさぬままに「虫系じゃなけりゃ、追い返しとくよ」と答える。
しかし、甲冑を着たまま寝ていたリンデルの、カチャカチャという足音は躊躇いなく男に近付いて、
「この先、カースに頼る事が増えると思う。だから、今は温存しといて」
と男に告げると、そのまま横を通り過ぎ、暗い森へと消えた。
その後ろに、ぴたりと一定の距離を保ってロッソが続く。
二人の背を見送りながら、男は一つ息を吐いた。
「……敵わねぇな」
元の場所に座り込み、男はまた背を木に預ける。
魔物の気配は、いわゆる殺気とは違う物だった。
なんとも背筋がゾッとする、吐き気を誘うほどの嫌悪感……。
カースには覚えがあった。
昔、まだカースが少年だった頃、あの頃の団に女はいなかった。
団員も若い連中ばかりで、いざこざも多く、時折むしゃくしゃした奴の苛立ちをぶつけられ、嬲られることがあった。
ゼフィアはあの性格だ。
俺から目を離しはしなかったが、男達を止める事はなく、それどころか焚き付ける有様だった。
俺を暴こうとする奴の顔は、どいつも似た様なもんだった。
悔しさや寂しさを全部混ぜ込んだような衝動を、欲望にすり換えて俺に叩き付ける。
そんな時の、あいつらが放っていた気配。
魔物の気配は、それと同じだった。
男は舌打ちをひとつ打つ。
やけに鮮やかに蘇った記憶は、男の胸に次々と暗い感情を呼び起こす。
カチャカチャと向こうから甲冑の音が僅かに聞こえてくる。
こんな顔を、リンデル達には見せたくない。
男は膝を抱えると、腕の中に顔を伏せた。
「ただいま、カース……。あれ?」
戻ったリンデルが、カースの姿に首を傾げる。
「厳しい山道でしたから、お疲れなのでしょう」
ロッソはカースが寝ていると思ったのか、さして気に留める様子も無く、そっと毛布をかけた。
「火の番は私が致しますので、主人様はお休みになってください」
声をかけロッソが振り返ると、リンデルは、まだその場に立ち尽くしたままカースを見つめていた。
「いや……。俺が起きてるよ、ロッソは寝てて」
「ですが……」
「ひとつ頼みたいんだ」
ロッソは主人の声がいつもより低いことに気付く。
「なんなりと」
姿勢を正して指示を待つロッソに、リンデルは「しばらく、俺達の会話は、聞かなかった事にして」と頼むとロッソに睡眠を取るよう促した。
ロッソがこちらに背を向けて横たわるのを視界の端で認めつつ、金色の青年は、男の浅黒い肌へと手を伸ばす。
「カース……、寝てないよね?」
グローブを外したリンデルの長い指が、男のこめかみから細い黒髪を掬う。
「……っ」
「何かあったの?」
耳元で囁くように尋ねられて、男は呻くように答えた。
「……何もねぇよ……」
「顔を見せて?」
「……放っといてくれ」
「ごめん。今は敵地の中だから、それは出来ない」
男は、しばらく沈黙を続けていたが、観念したようにじわりと顔を上げた。
毒に侵されたような男の表情に、リンデルの瞳が痛みを堪えて揺れた。
「……酷い、顔だろ。悪ぃな……」
男が苦笑を浮かべようとして、諦める。
その行為に、ただ痛々しさが増した。
「……どうしたの……?」
尋ねながら、リンデルは男の頬へ、瞼へと口付ける。
「何でもねぇよ……。ただ……ちょっと、嫌な事を思い出しただけだ」
「……話してもらえる?」
男は、真っ直ぐ見つめてくるリンデルに引く気がない事を察すると、仕方なしに話し出した。
「カースの感じた事は、その通りだと思うよ」
男の話を聞き終えて、リンデルはそう言った。
金の瞳が、男の森と空の瞳を順に覗き込む。
先ほどまでそこに浮かんでいた暗い色は大分薄れている。
リンデルに話したことで、少しは心が落ち着いたのだろうか。
金色の青年は、男の頬を両手でそっと包むと、まるで壊れ物にでも触れるかのように優しく優しく口付けた。
リンデルにとって、カースがどれだけ大切な人なのか、カースにもう一度思い出してもらえるように。愛を込めて。
ふ。と男の口端が上がって、リンデルはそっと唇を離す。
「もう、大丈夫だ。ありがとうな」
いつもの苦笑に近い表情を浮かべる男に、青年もまた微笑んだ。
リンデルは男へもう一度口付けると、名残惜しげにその手を離す。
男は、青年の顔が勇者のそれに変わるのを目にする。
リンデルは、くるりとロッソを振り返り、告げた。
「ロッソも聞いてほしい」
声をかけられて「はい」と答えてロッソが体を起こしこちらへ向き直る。
リンデルは、二人の顔を順に見て、周囲の気配をもう一度探ってから、慎重に口を開いた。
「この先で、俺達は魔物を生み出す者に出会うと思う」
「生み出す……者……?」
ロッソが、初めて耳にした単語を繰り返す。
「うん。でも、俺はそれを倒そうとは思ってない。できれば、その人を助けたいと思ってる」
「人……?」
カースが小さく口の中で疑問を唱えた。
「詳しく説明していただけますか?」
ロッソに問われて、リンデルは話し出した。
半年の間、城で調べて分かった全てを。
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