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これもう比良くんとは別人だ。
マストのときにだけ現れる別人格だ。
「早くっ、早く終わらせろっ……授業終わっちゃうだろ……」
マスト中の比良を<比良くん>と切り離して強気な発言をしてきた柚木に、彼は、ぞんざいに笑った。
頼りない細腰を掴むと律動を加速させる。
脈打つペニスを内腿の隙間で一頻り擦り立てた。
「ゃ……っ」
堪えきれずに小さな悲鳴を上げた柚木に愉悦し、囁く。
「お前も一緒にいけ」
囁いた直後、満遍なく湿り渡ったうなじに……思いきり吸いついた。
「ン……っ……っ……!!」
<別格のアルファ>の本能の道連れになった、ありきたりなオメガ。
射精はせずに強烈なオーガズムに至った。
天井を仰ぎ、全身をビクビクと痙攣させ、頭の芯が爆ぜるような恍惚感に理性を痺れさせた。
達した柚木を見届けて、比良は、瞼を閉ざす。
喉奥に咆哮を滲ませて絶頂の飛沫を解き放った。
「……ぇ……」
短い爪でドアを引っ掻いていた柚木は、自分の下腹部に飛び散った白濁に、次いで聞こえてきたチャイムに愕然とした。
(もう授業終わった!? 早っ!! どうしよう!!)
「っ……ゆず……き……?」
後ろから聞こえてきた呼びかけ。
顔を見なくとも、その声色で判断できた。
マストの間、眠りについていた<比良くん>が戻ってきたことをひしひしと感じ取った。
「ッ……ッ……ッ……!!」
パニックに陥った柚木は……隣の個室に逃げ込んだ。
(ラッコ!! ラッコのこと思い出して落ち着こう、おれ!!)
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