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意気込んだ割に奥手な柚木はマストの比良にてんで太刀打ちできずにいた。
「んむっ……ぅ……っ」
遮光カーテンをすべて閉ざして真っ暗闇に包まれた視聴覚室。
窓際の席で紡がれる、はしたない水音。
目を凝らせば二つの人影がぼんやり浮かび上がってくる。
「もっと……口開けろ」
着席した比良のお膝に向かい合って乗っかっていた柚木は、前にもまして濃厚なキスを強請られて、泣く泣く従う。
すでに上下とも濡れ渡っていた唇。
たどたどしく開いていけば真下からバクリと食いつかれた。
「んっ、ぷ」
唾液を滴らせて口内を這い回る舌尖。
「ん、ん、っ、ン、ん」
自分の舌の先っちょに執拗に纏わりつかれ、いいように弄ばれ、下唇ごと吸いつかれた。
「ん~~~……っ」
比良と長テーブルの間で柚木はビクビクと背中を波打たせる。
しっかりと腰を抱き寄せられて密に重なった正面。
制服越しに否応なしに股間が擦れ合い、彼の昂ぶりを痛感してゴクリと喉を鳴らした。
(昨日みたいに後ろからされるよりも、前から当てられる方が断然やばい)
性処理係なんて無理かも。
甚だ無謀だったかも。
こっ……んなご立派なやつ、おれにはお世話できないかも!!
「ひっ」
ゴリゴリと過剰に押し当てられて柚木は狼狽した。
「あっ……当たってるってば……!」
「当ててるんだよ、お前に、柚木」
輪郭はわかるが、どんな表情を浮かべているのかわからない比良の、低く掠れた声。
いつになく重たげに鼓膜に響いて耳を塞ぎたくなった。
「あ」
手をとられて比良自身のソコへと導かれる。
恥ずかしげもなく上から押さえつけられ、愛撫するよう強要された。
「や……やだ……」
「俺に駄々をこねるな」
「ううう……おれ、ただの保健委員なのに……」
「……」
「ああっ、ちょっと……! ひょぇぇ……っ」
比良は下着の内側にまで柚木を招いた。
熱く脈打つペニスを直に握り込ませた。
「い、いやだ」
「俺に犯されたいくせに」
「っ……何、言って……」
掌に触れる熱源。
嘲笑まじりに囁かれる暴言。
「濡れてるくせに」
「濡れてない……っ」
「コレで奥まで何回も貫かれたいんだろ」
「っ……比良くんはそんなこと絶対言わない!」
暗闇の中でマストの比良は薄ら笑いを浮かべた。
「淫乱オメガが四の五の言うな」
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