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7-5
「な……懐いてなぃ……」
「コッチだって」
「ッ……ソコ、やだ、やだってば……!」
「俺に傅 いてる」
愛液に浸っていたクリトリスを指腹でコスコスされて、柚木は、喉奥に悲鳴を詰まらせた。
マストになる度、比良は柚木の体にまでやたらちょっかいを出し、快感の共有を強請った。
純潔だったオメガ男子に過激なキスや愛撫を施しては、初々しく反応する様を愉しんでいるようだった。
「お……おけつ擦んなぁ……」
性処理係として頑張って<比良くん>を早く取り戻したい柚木であったが。
過激化していく<マストくん>の行為に毎回へたばってしまいそうになる。
(さっきから、おけつにずっとズリズリされてる)
丸出しにされた柚木のお尻には逞しく勃ち上がったペニスが擦りつけられていた。
尻たぶの狭間に押し当てられ、引っ切り無しに摩擦され、後孔の表面まで刺激されてむず痒くなる。
彼の先走りが肌身に伝うと禁断の背徳感に拍車がかかった。
保つべき理性がツーンと痺れた……。
「ふ、ぅ、ぅ……っ」
(ほんとは、こんなこと、だめなのに)
好きな人同士がすることなのに。
おれと比良くんはそうじゃないのに。
(どこまでも、もっと、いっぱい、マストくんの言いなりになりたくなる……)
「うまそう」
心がどっちつかずで逡巡し、無意識に泣いていた柚木は、どきっとした。
背中に密着していた比良に涙の一雫を舐め取られて何回も瞬きした。
「おかわり」
押し出された涙が器用な舌先に次々と掬い取られ、一滴ずつ飲み干されていく。
「……おれの涙なんか食べて、後からお腹痛くなっても、知ーらない……」
なけなしの幼稚な憎まれ口を叩いたら。
耳元で奏でられた不敵な笑い声。
「悪食だから平気だ」
(マストくんにどきどきするなんて、深刻なバグでしかない、どうかしてる)
性処理係として事務的に無感情に対応すべきなのに。
おれまできもちよくなってしまう……。
(……ところであくじきってどーいう意味?)
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