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おれのことを守りたいって、そーいう意味だったのでしょーか?
(んなわけあるか)
大豆を見習って、おれとは別の大切な人を一生懸命守りたい、そーいうことだよ、うん。
「……」
項垂れる比良に話しかけていいものか迷い、意味もなく部屋着を捏ねていた柚木は、はたと自分の格好のだらしなさに気がついた。
五分袖のぶかぶかシャツに膝丈ズボン。
イ●ンで購入されたワゴンセール品だ。
しかも姉のお古ときた。
憧れのクラスメートの前で何たる姿を曝しているのかと、柚木は穴に入りたくなった。
(よりによって部屋着の中でもダントツよれよれの服……比良くんが帰ったら泣いてもいいですか、神様……)
じわじわと恥ずかしくなってきた柚木は、せめて何か羽織ろうかと、視界の端で役に立ちそうなアイテムを探した。
(よし、洗濯したばかりのアレでいい)
「あれ、ちょっと冷えてきたかな~」
比良に見られてもいないのにわざとらしく肩を震わせ、悲しいくらいの猿芝居を演じ、ベッドから立ち上がる。
収納ボックスに積まれていた洗濯済みの服、その一番上にあったパーカーを手に取った。
頭の芯にこびりつく苦悩にひっそりと打ちひしがれていた比良は顔を上げる。
柚木が丁度パーカーを羽織ろうとしていたところで、些細な風が起こり、沈殿していた部屋の空気が撹拌された。
外から忍び込んできた、雨に打たれて濃厚さを増した緑葉の匂いが我が身にねっとりと纏わりついてくる。
制服のときよりも無防備に露出したうなじが天井の照明を反射し、いやに艶めいて見えた……。
「やっぱりお茶くらい淹れてこようかな、比良くん、結構濡れてるしーー……」
柚木は……棒立ちにならざるをえなくなった。
背後からいきなり抱きすくめられ、見事なまでにカチンコチンになった。
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