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12-6
ギシ……ッ
二人分の重みで軋んだベッド。
「な……何しちゃってんだよぉ……目隠しなんて卑怯でしょーが……」
視界を遮られ、両手首をシーツに縫い止められた柚木は弱々しげに非難する。
「離せってば……むかつくんですけど……この狂犬猛犬やろー……」
サイズにゆとりのある服が乱れ、首筋や鎖骨が露となり、ぺたんこなお腹まで外気に覗いた。
「んーーーー……っ……う……動かな……」
力を振り絞って起き上がろうとしたものの、両手首を捕らえる手はビクともせず。
すぐ真上に迫る気配をひしひしと感じる。
息遣いも、一心に注がれる視線も、増していく興奮も、互いの僅かな隙間伝いに嫌というほど感じた。
「ッ……目隠しとかドSかっ、マストくんの変態変態変態変態っ……ど変態のどすけべっ……」
悪口を連発していた唇が不意に塞がれた。
叢 に潜んで獲物を狙う獣さながらに姿勢を低くした彼にキスされた。
直に伝わってきた微熱。
隙間を完全になくして触れ合い、微弱な震えまで共有する。
タオルの下で柚木は律儀にぎゅっと目を閉じた。
<比良くん>を取り戻すために<マストくん>の性なる欲を解放させなければならない。
放棄するはずだった性処理係としての役目を自ら担い、怖々と口を開いていく。
ただ重なっていただけのキスをより深くするように、その唇を差し出した。
「……?……」
普段の<マストくん>ならば口を開く前に傍若無人に舌を突っ込んでくるというのに、不自然な間が生じて、柚木は戸惑う。
(……まさかおれから来いってこと……?)
まだ、じっとしている唇。
意地悪なマストくんの性悪な戯れと捉えた柚木は、半ば破れかぶれに、意趣返しも込めて……彼の下唇にかぷっと噛みついた。
「ッ……」
(あれっ)
予想外のリアクションに柚木は素直にびっくりした。
あっさりと遠ざかった微熱。
中断されたキスに拍子抜けした。
(……なんか……変だ……)
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