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14-1-オンライン授業
月曜日、比良が教室から去り、週明けから喪失感に包まれた柚木のクラスであったが。
「今日から比良のオンライン授業を開始する」
水曜日、早々と変化した授業形態に生徒達は一転して浮き足立った。
変化とは言っても、ウェブカメラが取り付けられたノートパソコンが教卓に置かれ、教師用にもう一台お古の教卓が隣に設置されただけ。
インターネットを介して専用ツールを使用し、比良のみが自宅から授業に遠隔参加するわけだ。
「先生、それって比良クンも映ってるんですよね?」
「うん、映ってるぞ」
「見たい!」
教卓を囲んだ生徒は大いにはしゃぎ、一限目の授業はなかなか始まらず。
「比良クン、眼鏡かけてる!」
「目、悪かったかな?」
[これはブルーライトカットの眼鏡だ]
「へ~~! 部屋もちょっと見える!」
(えぇぇえ……比良くんのお部屋……俄然興味しかない……)
着席していた柚木は落ち着きなく教室前方を窺った。
(しかも眼鏡って、やばくない? ただただやばくない!?)
駆けつけたい欲がグググ……と膨れ上がり、先陣を切ったクラスメートらに遅れて教卓へにじり寄ろうとしたが。
「いつまで脳天気にはしゃいで授業の開始を遅らせるつもり?」
ベータ性の男女はギクリとする。
起立した阿弥坂に冷ややかに睨まれて、皆、そそくさと自分の席へ戻った。
「先生、どうぞ始められてください」
「そ、そうだな。比良の方も音声や映像に異常はないようだから、それでは授業を始める」
テキストを捲る音が教室に一斉に響く。
直接注意されたわけでもないのに、迫力ある阿弥坂にブルブルしていた柚木は、前席に着く彼女をチラ見した。
『お前のせいでシュウくんに距離をおかれた』
月曜日の昼休みのことだった。
クラスメートの面前で比良に拒絶されたアルファらに柚木はイチャモンをつけられた。
谷のいないタイミングを見計らい、トイレの帰りを待ち伏せしていた彼らは、当惑している柚木をオメガ男子用トイレに押し戻した。
『どうしてくれるんだよ』
『え~〜……と……あれは、いわゆる、自業自得というやつでは』
『生意気を抜かすな』
『ごめんなひゃい!』
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