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「……比良くん……」
何だか目つきが据わっている比良に柚木は心臓までムズムズさせる。
(このまま比良くんと……)
……だ、だめだめ、無理すぎる、それこそおれの心臓真っ二つになっひゃう!!
「そ、そういえば、すごかったんだよ、阿弥坂さん」
緊急事態を回避するため、比良の本能スイッチをオフにするため、柚木は無関係な話題を振って彼の意識を逸らそうとした。
「別のアルファの名前を柚木の口から聞きたくない」
ばっさり切り捨てられた。
むしろ逆効果とも言えた。
「ベータでもオメガでも、もう一人の俺だろうと、聞きたくない」
執着心を剥き出しにした黒曜石の瞳にへっぽこオメガは射竦められた。
「あっ」
比良はまた柚木に口づけた。
唇の届け先は胸の突端にちんまり芽生える突起だった。
「待っ」
クチュ……
食まれ、啄まれ、みるみる濡らされて。
比良の下で柚木は寝苦しそうに身悶える。
「ぁ……っ……だ、め……比良くん……っ……っ」
平らにした舌の表面で掬うように、もう片方の突起までじっくり舐められた。
執拗なキスと同時進行で、雫に浸かった片方を爪弾かれると、また独りでに腰が跳ね、あられもない熱が体中を駆け巡った。
「ん……」
比良の微かな声が鼓膜に滴ると頭の天辺まで痺れた。
彼の舌に包 まれて芯を帯び、勃ち上がり、露骨に尖っていく。
胸元に集中する甲斐甲斐しい口づけに疼いて、疼いて、仕方なくなる。
どこまでも、このアルファの好きなようにされてみたいと、イケナイ欲望が湧いてくる……。
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