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「あ、ん……っ」
勃ってきた突起をやや強めに吸われた柚木は嬌声を零した。
か細い両手首を寝具にやんわり縫い止め、オメガの薄い胸に顔を埋めていた比良は、顔を上げる。
「柚木、感じてるのか?」
「……」
「気持ちいい……?」
「……」
肯定も否定もできずに赤ら顔でそっぽを向いていると、この上なく昂ぶっているアルファはやおら上体を浮かせ、柚木を覗き込んだ。
「俺のこと無視しないで? 意地悪しないでくれ……」
(こんなん、死ぬ、おれ、死んじゃう)
「い、意地悪してるのは比良くんの方……! だめだって、嫌だって、おれ、言ってるのに……ヒィ……」
今、顔を突き合わせるのは至難の業であり、おっかなびっくり横目で彼を窺った柚木は小さな悲鳴を放った。
「あんまりにも美味しそうだったから、つい、味見してみたくなった」
雄々しく色めく黒曜石の瞳に、昼食のときの会話をなぞった台詞に……濡れた。
「柚木……俺で濡れた……?」
容赦なく追い討ちをかけてくる比良に、うっかり、おばか正直にコクンと頷いた……。
窓の向こうに広がる贅沢な夜景をチラ見する余裕もなかった。
「柚木」
「こ、これが限界、おれの精一杯、これ以上はむり」
「これだと見えない」
(見なくていい!!)
ゆったりサイズのダブルベッドで座って向かい合う二人。
新品の服を汚してはいけないと、あれよあれよという間に下着ごとボトムスを脱がされ、下半身にはくるぶし丈のショートソックスしか身に着けていない柚木。
逆に上下とも制服を着用したままでいる比良は、ポロシャツ一枚にしたオメガの両膝に手を添えていた。
ヘッドボードに立てかけた、やたら大きな枕に背中を預けた柚木は限界までそっぽを向いている。
体育座りで、丸出しの股間に両手を差し込んで、比良の視線を懸命に防いでいた。
「見えない」
ぐ、と膝頭に五指が食い込む。
それだけで……成す術もなく、また、濡れてしまう。
「意地悪しないでくれ」
寂しげな声で請われると、鼓膜まで火照ったみたいになって、これまた素直に濡れる。
(比良くんのせいで、おれの体、ばかになった!!)
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