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「柚木、起きたのか……?」 (……) 「今までで一番寝惚けていたみたいだ」 (比良くんの前でどれだけ寝惚け続けてきたんだ、おれ……!!) 「っ……ご、ごめん、比良くん、不快な思いさせまひた」 「いいや? くすぐったいくらいで全く不快じゃなかった」 比良はベッドの傍らに跪いていた。 細く開かれたドアから廊下の光が洩れている。 「大豆はいいな」 「はひ……?」 「いつもこんな風に柚木に撫でてもらえるなんて羨ましい」 無情にも寝起き一発目に最大級のデレを喰らって柚木の胸ははち切れそうになった。 「勝手に部屋に入って悪かった」 「あ……ううん……」 「一応、ノックしたんだが返事がなくて。細く開けてみたら明かりが点いていたから、まだ起きていると思ったんだ」 「電気つけっぱで、ぐーすか寝てたんですよね、面目ない……」 「寝ているのを起こすのは悪いと思って、明かりを消して出ようとしたら、柚木が何か話しているのが聞こえて」 「かんっぜんに寝言です……」 「モフモフがどうとか言っていた」 「幸せな秋田犬の夢です……」 柚木はもぞもぞ起き上がる。 冷たいシャワーをざっと浴び、リビングにいたときと同じ格好をした比良に尋ねた。 「比良くん、何か用でもあった? どーかした……?」 ベッドの縁に両腕を乗せた彼は上目遣いに柚木を見つめた。 薄闇を吸い込んで不敵に艶めく黒曜石の瞳で、まだ多少眠気を引き摺っていた奥二重まなこを覚醒に導くと、答えた。 「柚木と夜更かしがしたくて来たんだ」

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