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(……うなじ、熱い……) 柚木は比良の肩越しに天井を力なく見上げた。 (……比良くんの重み、気持ちいい……) 完全に自分に覆い被さり、耳元で浅い呼吸を繰り返している比良の背中に、おっかなびっくり両手を回してみる。 縋り甲斐のある肩におでこをコツンとくっつけた。 「……比良くん……」 急に去られて色濃く残る余熱に悶える蜜穴。 吐精しても尚、自分のお腹のすぐ真上で熱を(とど)めている彼のものが視界に入ると柚木の胸はざわついた。 (どうしよう) 初めての日で何回も……したりするの? それって……ヒワイなんじゃないの? (さっき、いきなり途中でやめたっていうか……やっぱり、おれなんかじゃあ物足りない……?) 遮断されていた雨音が鼓膜に戻ってきて柚木は忙しげに瞬きした。 気が付かない間に本降りになっていたらしい。 遠くで雷鳴もしていた。 「雨……ひどくなってきた……雷こっちに来ないといーな……」 自分に覆い被さったまま沈黙している比良の背中をたどたどしく撫でてみる。 「うわぁ、肩甲骨、すごい……ネコ科の肉食獣みたい……」 相変わらずムードに疎いへっぽこオメガは手触り抜群な背中に感想をぽろぽろ零した。 「背中までかっこいいとか……神様、ヒイキしすぎでしょ……おれなんかテキトーにされた感ありすぎる……片手間か、ながら作業で創造されたに決まってる……わわわ、もしかして、これって背筋ってやつ……? デコボコしてる……」 初めての日の真っ只中、比良の背中に呑気に夢中になって大絶賛していた柚木であったが。 顔を上げた彼と視線がかち合うなり、饒舌だった唇は途端に大人しくなった。 「にゃあ」 赤い眼に心臓を鷲掴みにされた。 「マストくん……」 ネコ科のフリをした<マストくん>は笑った。 両手を突いて半身を起こすと、しなやかな背中をぐっと丸めて柚木を覗き込んだ。 「俺のものにしてやるから覚悟しろ、柚木」

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