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声が響くバスルームに狼狽しきった情けない声が落ちる。
「そこはおれの地雷っ、触れちゃいけないとこ!」
「地雷?」
ぬるま湯に脹脛 を浸からせ、甲斐甲斐しく続けられる口づけに逆上せそうになっていた柚木はその声色に呆気にとられた。
お尻を死守する手はそのままに肩越しに見下ろせば赤い眼とバッチリ目が合った。
(ひょぇぇ!!!!)
「いつから!? さっきまで比良くんだったのに!!」
「さぁな」
「っ……だから、おけつはやめて~~!」
死守していた手を力づくで退かして懲りずにキスしてきた<マストくん>に柚木は身悶える。
「俺が触れたらいけないところなんかお前にはない」
「なんだそれっ……俺様暴君反対~~っ」
「お前の地雷なんか一つ残さず喜んで踏み抜いてやる」
「ぁぁっ……だ、め~~……っ……おれのおけつがぁ……っ」
(うなじバクリされた方がまだマシかもしれない!)
外は雨天、自然光のみで薄暗いバスルーム。
曇りガラスの窓の向こうではいくらか弱まった雨音がしていた。
「なんでソコばっか……もぉ、やめてよぉ……」
<マストくん>に長々と口づけられて悶々とし始めた後孔。
尻たぶが左右に押し開かれ、秘められた小さな蕾をしつこく愛でる舌先。
バスタブの縁に両手を突かせて上体を支える柚木は、切れ切れに泣き声を上げ、彼の行為を弱々しげに咎めた。
「好き勝手やりすぎだっ……昨日だって、マストくん……おれに……」
「おれに何だ」
「おれに……おれのナカに……した」
「……」
「今、思い出した……一回じゃなぃぃ……おれが気を失うまで……何回もナカにしたぁ……」
「……」
「比良くんは……さっきだって……しなかったのに」
起き抜けにリビングで……その際、比良は絶頂の瞬間を蜜穴の外で迎えていた。
「いくら妊娠しないからって……好き勝手すんなぁ……」
彼は物言いたげな眼差しでブルブルしている柚木の後頭部を見やった。
しかし特に言い返すこともなく、代わりに上気した小尻にもっと積極的に構った。
雫を含んで重たげに目元にかかる前髪の下、赤い眼を半開きにし、多くのオメガが骨抜きになるだろう性的魅力を滴らせて舌を動かす。
ぷっくりと盛り上がってきた蕾をふやかす勢いで念入りに弄んだ。
「あ……あ……やだ……」
(なんでだろ)
そんなところ舐められて気持ちよくなるなんて。
こんな状況なのに。
こんなの非常識極まりない……。
「おれ……ヒワイになってる……」
我が身にとって唯一無二のオメガに傅 いてご奉仕に耽っていた別格のアルファは声を立てずに笑った。
「卑猥になるのは当たり前だ。俺が相手なんだからな」
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