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「それに和姦ならまだしも違うよな。まぁそれなりに場数踏んでる分、自慢じゃないけどわかるんだよ。ソッチの泣き方じゃないって」
眞栖人は廊下に置き去りにされていた柚木の携帯を手にしていた。
軽々しい口調とは反対に、殺気すら覚える鋭い眼差しで双子の兄を見据えていた。
「どういうことだ、柊一朗」
気配を察していた比良は怒れる弟を真っ直ぐに見返す。
正しく一触即発ムードだ。
泣いている場合ではないと涙を拭った柚木は、一先ず頭から布団をかぶって口を開いた。
「比良くんっ、ラットになってたんだ!」
(眞栖人くん、来てくれてありがとう)
「ラットはっ、めちゃくちゃ興奮して前後不覚になってっ……そのっ……アルファのほとんどの人が……抑えきれなくなる……んです……よね……?」
(眞栖人くんを見た瞬間、おれ、すごくほっとしたよ)
「でも、もう、比良くんのラット終わったみたい……だから……未遂……? こ……これにて一件落着……です……めでたし、めでたし……」
(眞栖人くんのこと好きだよ)
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